
Varda Space Industriesは10月1日、SpaceXの相乗りミッションで宇宙船「W-8」と「W-9」を同時に打ち上げました。同社が同じロケットで2機を打ち上げたのは初めてです。軌道上で製造や試験を行った物を地球へ戻す事業を、複数機で運用します。2027年にはさらに7回のミッションを計画しています。
2機同時の打ち上げから複数機運用へ
W-8とW-9は、SpaceXのTransporter-18相乗りミッションに搭載され、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられました。Vardaはこれまでにも2機を同時に軌道上で運用したことがありますが、2機を同じロケットに載せたのは今回が初めてです。
同社は宇宙船を軌道上の「小型工場」と位置付け、微小重力環境で医薬品の加工や技術試験を行い、搭載物を地球へ回収する事業を進めています。W-8とW-9は、打ち上げから軌道上の運用、再突入、回収までを複数機で並行させる計画の一環です。
Vardaは2024年以降、カプセル6基を安全に地球へ再突入させています。今回の打ち上げでは、エルセグンドに拡張したミッション運用施設から2機を連携して管理します。同社の幹部は、単発の宇宙ミッションから定期運航へ移行する方針を説明しています。
搭載物には熱防護材や航法機器
W-8には、再突入時の熱から宇宙船を守る熱防護システムの状態を調べるセンサーが搭載されています。光ファイバーセンサーで温度、熱流束、表面後退を測定し、再突入時のデータを収集します。
W-8の外装には政府機関などが資金を提供した次世代の熱防護材が使われています。W-9には極超音速飛行中のデータを集める航法システムが搭載されています。W-9の外装にはSyensqoの熱シールド材も含まれ、先端部のタイルには複合材料の小片が組み込まれています。
今回の各機は、企業や政府機関の顧客向けに異なるペイロードを運び、宇宙での試験後に地上で分析する用途を担います。
微小重力での結晶成長が医薬品研究に関わる
微小重力では結晶の成長が地上より遅くなる一方、分子が結晶表面で整列する時間を得やすく、より均一で大きな結晶が形成されることがあります。タンパク質の立体構造を調べる際、結晶は構造分析に使われます。
薬は体内の特定のタンパク質に結合して働くため、タンパク質の構造を詳しく知ることは薬の設計に役立ちます。NASAによると、宇宙ステーションでは20年以上にわたりタンパク質結晶の成長実験が行われ、製薬会社や研究者による実験は数百件に上ります。
結晶化研究は、新しい治療薬の候補を調べるほか、既存薬の製剤を扱いやすくする研究にも関わります。NASAは、微小重力下で作った高品質の結晶懸濁液が、点滴で投与されることの多いモノクローナル抗体を注射で投与する方法につながる可能性を挙げています。Vardaは、こうした軌道上の加工物を回収して地上で利用することを目標の一つにしています。
2027年に7回の打ち上げを計画
Vardaは2026年10月時点で軌道上に2機を運用しており、同月中に3機目を打ち上げる予定です。3機目も予定どおり打ち上がれば、3機すべてをクリスマス前までにオーストラリア南部のクーニバ試験場へ帰還させる計画です。
2027年は第1四半期に2回、第2四半期に2回、第3四半期に3回のミッションを予定しています。第3四半期の3機は同じロケットで打ち上げる計画です。同社は9月にシリーズDで2億5100万ドルを調達したと発表し、2027年末までに従業員を100人採用する計画も示しました。
Vardaは、2029年ごろからロケットの打ち上げ枠が不足する可能性を課題に挙げています。SpaceXのTransporterやBandwagonなどの相乗り便を主要な打ち上げ手段としており、同社幹部は2029年ごろまでの打ち上げ枠を確保していると述べました。将来は小型ロケットからStarshipまで複数のロケットを利用できる宇宙船を目指し、打ち上げ機の選択肢を広げる考えです。










