出典: karapaia.com

約3億4500万年前の化石ウェストロシアナは、長く最古級の爬虫類と考えられてきました。頭骨を強力なX線で調べた研究チームは、エラの骨や水中での採餌に適した口の構造を確認し、爬虫類ではなく、より古い四肢動物の系統に位置づけました。この再分類は、陸上生活に適した体の特徴が、水中や水辺で暮らす動物にも先行して現れていたことを示します。

出典: karapaia.com

外見から「最古の爬虫類」とされた化石

ウェストロシアナは1984年、スコットランドのイースト・カークトンで見つかりました。全長は約20センチで、四肢を持ち、指先は爪のように尖っていました。1990年に新種として記載され、当初は知られている中で最古の爬虫類とされました。

出典: karapaia.com

化石は二枚の岩に挟まれて押しつぶされ、重要な骨の多くは表面から観察できませんでした。そのため、四肢や指先など外から見える特徴をもとに、爬虫類や鳥類、哺乳類を含む有羊膜類に近い動物として扱われてきました。

出典: karapaia.com

研究チームはフランスの欧州シンクロトロン放射光施設でX線断層撮影を行い、岩の中の骨格をデジタルで再構築しました。X線断層撮影は、物体をさまざまな角度から撮影し、内部構造を調べる方法です。調査には、1990年にウェストロシアナを命名したティモシー・スミスソン氏も参加しました。

頭骨の内部に残っていたエラと小さな歯

解析で、頭骨の内部に骨化したエラの骨格が見つかりました。骨に残る血管の通り道は、エラが生きている間に機能していた証拠とされています。口蓋と下顎には多数の小さな歯が並び、水中での採餌に適した構造と解釈されました。

これらの特徴を加えた系統解析では、ウェストロシアナは有羊膜類の祖先に近い位置から外れ、両生類と有羊膜類が分かれるより前に枝分かれした四肢動物の幹系統に置かれました。四肢動物は手足を持つ脊椎動物のグループで、両生類や有羊膜類などを含みます。

エラを持ちながら、陸上生活に適した体の特徴を備えていたことが研究で分かりました。研究チームは、ウェストロシアナが水中で暮らしていたか、水と陸の両方を利用していたと結論づけています。化石からは、爪のように曲がった指先の骨や、泳ぐより体重を支えるのに適していた可能性のある前脚も確認されました。

陸上向きの特徴は一度にそろわなかった

ウェストロシアナの指先は爪に似ていますが、研究チームは本物の爪とは区別しています。また、五本指の手足や、陸上で体重を支えるのに適した前脚といった特徴も、有羊膜類に限られませんでした。

研究チームによると、陸上生活に関係する形質は四肢動物の系統で一斉に現れたのではなく、組み合わさる順序も異なっていました。陸上に適した形質を持ちながら、エラを備え、水中で採餌する段階にとどまる動物もいたことになります。ロジャー・ベンソン氏は、両生類と爬虫類の共通祖先には、後に爬虫類の特徴とみなされる形質の一部がすでにあったと説明しました。

この結果は、足跡の形から動物の系統を判定する際にも関わります。2025年のNature論文は、オーストラリア・ビクトリア州の足跡化石に、爪のある足を持つ冠群有羊膜類、特に初期の竜弓類が残した痕跡があると解釈し、有羊膜類の出現時期を少なくとも3500万〜4000万年さかのぼらせました。冠群は、現在生きているグループの共通祖先とその子孫を含む分類群です。

足跡化石の解釈にも見直し

2025年の研究では、爪痕が足跡を有羊膜類と結びつける根拠の一つになりました。ABCが紹介した研究者は、前足の五本の指と爪の跡も有羊膜類と判断する材料だと説明しました。同じ報道では、別の古生物学者が、動物が水に支えられながら移動した可能性を指摘し、足跡の解釈に異論を示していました。

ウェストロシアナの研究は、より古い四肢動物にも爪のような指先があり得ることを示しました。そのため、爪痕だけでは足跡を残した動物が有羊膜類だったとは確定できず、2025年の足跡の解釈には見直しの余地があります。Nature論文の研究者は、足跡化石と体の化石では保存される環境が異なり、どちらも化石記録に偏りが生じ得ると説明しています。

足跡から系統を判断するには、爪の有無だけでなく、指の数や配置、歩行の痕跡など複数の特徴を、他の化石や系統解析と照らす必要があります。2025年の研究は足跡の形状と年代を根拠に有羊膜類と解釈しましたが、今回の研究は爪に似た形質がより古い系統にも存在したと示しています。