TechCrunch Disrupt NY 2015 - Day 2 (17378512882)
写真: TechCrunch / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons

車中で変わった成功の基準

WeWorkの共同創業者アダム・ニューマンは、ソフトバンク創業者の孫正義氏と車で話した約30分が、価値観の変わる転機だったと振り返りました。巨額の投資を受けた後、会社の使命よりも資金や成長を重視するようになったといいます。

ニューマンによると、面会前夜、WeWorkの取締役会は3億〜4億ドルの調達や成長の減速、黒字化、株式公開を検討していました。孫氏は車中で約42億ドルの投資条件を提示し、2人はiPad上で条件に署名したとニューマンは語っています。

ニューマンは、車に乗った時点では「使命に導かれた起業家」だったものの、本社へ戻る頃には「お金が中心になった」と説明しました。成功を資産や金額で測るのではなく、人生の終わりにどう感じるかで考えるようになったとも話しています。

長期の賃料負担と短期契約

WeWorkはビル所有者と長期の賃貸借契約を結び、オフィスを会員に短期で貸し出す事業を展開しました。会員が退去しても賃料の支払いは続くため、新規契約が鈍ると収入が減る一方、固定負担は残ります。

WeWorkが2019年に提出したIPO登録届出書(株式公開に向けた書類)では、2018年の売上高は18億2,000万ドル、純損失は19億ドルでした。2019年6月時点の将来の最低リース支払額は472億ドルと記載されていました。

会員が増え続ける間は、新しい会員からの収入が賃料を支え、稼働率も保たれます。しかし、需要が落ち込めば会員収入は縮小しても、契約済みの賃料はすぐに減らせません。成長が続くことで、長期負担と短期収入のずれが覆い隠される仕組みでした。

IPOで明らかになった統治上の懸念

2019年のIPO計画では、赤字に加え、創業者への権限集中や関連当事者取引が投資家の懸念を招きました。WeWorkの届出書は、ニューマンの議決権が強い株式構造や、本人が所有する不動産を会社が借りていた取引を開示しました。

ニューマンの株式は1株あたり20票の議決権を持ち、一般株主の株式は1票でした。S6によると、妻のレベッカ氏が将来のCEO選定に関わる仕組みも届出書に記載されていました。

会社は「We」商標の権利に約590万ドルを支払い、その取引先はニューマンが関与する事業体でした。ニューマンは反発を受け、この金額を返還することに同意したとS6は伝えています。開示内容や損失への懸念が強まる中、WeWorkはIPOを撤回し、ニューマンはCEOを退任しました。

評価額の下落と破産

WeWorkの非公開企業としての評価額は2019年初めに470億ドルに達しました。IPO撤回後、ソフトバンクによる救済資金の条件では評価額が75億〜80億ドルとされ、同年1月の水準から下落しました。

その後も長期賃料の負担は残り、WeWorkは2023年11月に米連邦破産法第11章の適用を申請しました。S1によると、申請時の負債総額は186億5,000万ドル、資産総額は150億6,000万ドルでした。

ニューマンは2024年初めにWeWorkの買収を試みたものの、同社は同年、ニューマンを加えずに破産手続きを終えました。ニューマンは2022年に住宅不動産事業のFlowを立ち上げ、アンドリーセン・ホロウィッツから3億5,000万ドルの投資を受けています。ニューマンは過去の失敗から得た教訓を新事業に生かす考えを示しました。