Marco Rubio by Gage Skidmore 4
写真: Gage Skidmore / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

ウクライナでは軍用衛星通信サービスの速度制限が報告され、複数の任務に影響しました。米国務長官のマルコ・ルビオ氏は、利用条件を決めるのはホワイトハウスではなく、運営元のSpaceXとイーロン・マスク氏だと説明しています。

速度制限でドローン任務に影響

ウクライナ側の顧問セルヒー・ベスクレストノフ氏は10月14日、Starshieldのサービスに時速160キロの上限が設けられたと述べました。この制限は、ウクライナ軍がロシアの高速ドローンを迎撃するために使うドローンの誘導システムに影響し、複数の任務が中断したとしています。

ウクライナ国防省は翌15日、サービスの再開を確認しました。制限をめぐり、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はホワイトハウスの判断だったと述べましたが、トランプ政権は関与を否定しています。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、マスク氏がStarshieldの通信を遅くするよう指示したと報じました。また、関係者によると、マスク氏とトランプ大統領らが事前に協議したとされています。一方、米政府関係者らはホワイトハウスが最終判断したと説明しており、政権側の説明と食い違っています。(

StarlinkとStarshieldは役割が異なる

StarlinkはSpaceXが運営する商用衛星インターネットサービスで、世界の利用者は約1,300万人です。Starshieldは米国防総省向けに軍事・情報用途の衛星システムを開発するSpaceXの事業部門です。

Starshieldは強化された暗号化と専用端末を使って安全な通信を提供しますが、通信網の基盤にはStarlinkの衛星群を利用します。両サービスは用途と端末が異なる一方、衛星インフラの一部を共有しています。

米国防総省はStarshieldの最大顧客で、StarlinkとStarshieldの両方に数十億ドルを支出しています。Starshieldの契約は米政府とSpaceXの間にあり、StarlinkはSpaceXが所有・管理する商用サービスです。

利用条件をめぐる説明は食い違う

ルビオ氏は、通信速度などの利用条件は民間企業との商業契約に基づくものだと説明しました。政権が事前に制限を把握していたかは知らないとしたうえで、その点は「関係ない」と述べています。

マスク氏は、Starshieldの速度や利用制限は米軍または大統領が決めるとXに投稿しました。また、StarlinkはSpaceXが所有・管理する商用サービスで、民間利用や防御活動に限られるとも説明しています。

トランプ大統領は記者団に、制限を誰が指示したかは知らず、自身は関与していないと述べました。国防長官のピート・ヘグセス氏も、利用規約に基づいてStarlink側が判断できる商業上の問題だとの見方を示しています。

共通インフラが判断を複雑にする

Starlinkは1万1,000基を超える衛星で構成され、利用者の端末へブロードバンド通信を届けます。家庭や登山者のほか、海運会社や航空会社も利用しています。

Starshieldは専用端末を使いますが、通信基盤にはStarlinkの衛星群を共有しています。運営主体と契約は異なりますが、衛星インフラ上では両サービスの境界が明確ではありません。

ウクライナでの速度制限をめぐっては、StarshieldとStarlinkのどちらが制限されたかについても説明が食い違っています。ルビオ氏はウクライナがStarshieldを利用したことはないとの見方を示し、ゼレンスキー氏は両サービスが影響を受けたと述べています。