ウクライナ軍、負傷兵を大型ドローンで前線から62キロ搬送
出典: gurzufdefence.com.ua

ウクライナ軍は大型ドローンを使い、前線で負傷した兵士を約62キロ離れた安全な地点まで搬送しました。吊り下げ式のハーネスを使った搬送が実際の救出に使われたのは初めてとされています。地上からの救出が難しい状況で選ばれましたが、機体を開発したGurzuf Defenceの共同創業者は、空からの搬送は危険を伴う最後の手段だと述べています。

ハーネスで兵士を吊り下げて搬送

救出されたのは、第30独立機械化旅団に所属する兵士です。兵士は約491日間、前線の陣地にとどまり、仲間がドローンで食料、水、弾薬、医薬品を届けていました。重傷を負った後、地雷や敵側のドローンがある状況で地上から近づくのは困難でした。

第92独立突撃旅団は、ウインチを備えた大型ヘキサコプター「Heavy Shot AYUDAG 6」を使いました。ヘキサコプターは6つのローターを持つ機体です。先に兵士へカラビナ付きの装備を届け、兵士自身が仲間の指示を受けながらハーネスに固定した後、機体が飛び立ちました。

飛行は1時間14分に及び、約62キロを移動しました。機体は兵士をより安全な地点まで運び、そこで仲間が受け取り、病院への搬送を手配しました。この機体の最大積載量は約90キロです。

会社側も「最後の手段」と位置づけ

Gurzuf Defenceの共同創業者パブロ・フェルドブリュム氏は、負傷者を空から運ぶ危険は大きく、定例的な任務にはならないとの見方を示しました。任務ごとに現場の状況に合わせて準備する必要があり、ほかに救出の手段がない場合に限るという考えです。

機体は負傷者搬送専用ではなく、複数の任務に使う大型プラットフォームとして開発されました。Gurzuf Defenceは必要な場面での救命を想定する一方、数千件の搬送や「ゴールデンアワー」内の大量救出が実現するとの見方には距離を置いています。

この任務では、兵士が飛行中にハーネスで吊り下げられました。救出活動には、第10軍団、第92独立突撃旅団、第30独立機械化旅団が参加しました。

担架を載せる専用機は前線試験へ

別のウクライナ企業SkyFallは、負傷者を担架付きのコンテナに収容して運ぶ「StarGate」を開発し、10月から旅団で前線試験を始めました。Heavy Shot AYUDAG 6による救出では兵士がハーネスを装着して機体の下に吊り下がりましたが、StarGateは担架を載せる構成です。

StarGateは衛星通信サービスStarlinkを使うほか、独自の通信システムを予備として備えます。通信がすべて失われた場合に安全な場所へ戻るのを助ける、機体搭載のAIシステムもあります。

前線では、地上ロボットによる搬送も行われています。

戦場の条件が搬送方法を左右

ウクライナでは、敵側の監視やドローン攻撃の危険から負傷者の救出が難しく、兵士が前線に長く取り残されることがあります。地上ロボットも、荒れた地形を長時間移動する間に敵のドローンに狙われる可能性があります。

米軍は長年、無人航空機による負傷者搬送を開発・試験してきましたが、主な搬送手段として有人ヘリコプターを使っています。2015年には、無人貨物ヘリコプターK-MAXに模擬負傷者を乗せる実演が行われました。地上の操縦者が機体を操作し、米連邦航空局の安全規則に合わせて安全パイロットが機内に乗っていました。