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捕食の約75%でサンゴの組織が残る

オニヒトデはサンゴを食べ、大量発生時には広い範囲に被害を与えます。一方、グレートバリアリーフの保護区で行われた調査では、観察した捕食の約75%で生きたサンゴの組織が残っていました。

調査対象は、オーストラリアのグレートバリアリーフにあるワンツリー島研究施設周辺のサンゴ礁です。魚類の個体数が保たれ、オニヒトデが比較的少ない保護区で、捕食痕と残った生きた組織が調べられました。

研究では、オニヒトデは一度の捕食でサンゴ群体全体を食べ尽くすのではなく、一定量を食べて次へ移る様子が確認されました。残された部分では、サンゴの種類によって再生の状況が異なっていました。

成長の速いサンゴが減り、種類の共存につながる

調査では、成長の速いミドリイシ科のサンゴは、オニヒトデに食べられた範囲で再生しませんでした。一方、成長の遅いコモンサンゴ属やハマサンゴ属では再生が見られました。

ミドリイシ属など成長の速いサンゴは、広い場所を占めることがあります。個体数の少ないオニヒトデがこうしたサンゴを食べることで、成長の遅い種類が残る空間が生まれ、サンゴの多様性を支える可能性があります。

この結果は、オニヒトデの捕食が常にサンゴ礁に悪影響を与えるとは限らないことを示唆します。ただし、調査は大量発生の危険が小さい保護区を中心に行われており、個体数が急増した場合、オニヒトデは広範なサンゴを破壊する脅威となります。

幼生の餌と捕食者が個体数に関わる

オニヒトデはグレートバリアリーフに自然に生息し、成体はサンゴを食べます。幼生は海中を漂う植物プランクトンを餌とし、幼生の生存率が高まれば成体が増える可能性があります。

雨季の洪水で陸地から栄養塩が海へ流れ込むと、植物プランクトンが増えることがあります。AIMSは、こうした餌の増加が幼生の生存率を高め、大量発生につながる可能性を研究しています。

魚類や無脊椎動物にはオニヒトデを食べる捕食者がいます。AIMSの調査では、魚の腸や排せつ物からオニヒトデのDNAが見つかり、魚が幼生期を含む生涯のいずれかの段階でオニヒトデを食べていることが示されました。また、漁業対象の魚の生物量が減るほど、オニヒトデの密度が高くなる傾向も報告されています。

大量発生への対応は監視と選択的な駆除

グレートバリアリーフの管理では、サンゴ礁の状態やオニヒトデの個体数、幼生の移動予測などを使って、対策する礁を選びます。対象の礁は約500カ所で、毎年そのうち200〜250カ所を監視や駆除の対象としています。

2025〜26年度には220カ所の礁で監視を行い、必要に応じて駆除しました。同年度の駆除数は64,879匹で、対象となったサンゴ礁の生息域は13,210ヘクタールでした。

現場では、まず曳航式の調査などでサンゴの状態や捕食者の痕跡を記録し、大量発生が見つかった礁ではダイバーが水中を捜索します。駆除には酢または胆汁塩を1回注入する方法が使われ、個体数を生態学的に持続可能な水準まで抑えることを目指しています。研究では、発生を抑えた後も個体をすべて取り除くのではなく、サンゴ礁の状態に応じて駆除の目標を考える必要性が示されています。