brown and white crab on white and brown rock
Photo by Amber Wolfe on Unsplash

カリブ海産のシャコの眼から調べた17種類のロドプシンのうち、3種類が600ナノメートルを超える光を吸収することが分かりました。研究では、光を受けた後に性質が変わり、別の波長の光で元に戻る「可逆性」も確認されました。色素フィルターと複数のロドプシンが組み合わさり、シャコの眼の幅広い波長への感度を支えています。

3種類のロドプシンが赤色光を吸収

ロドプシンは、光を受け取るタンパク質です。研究チームはシャコの眼にある17種類を調べ、うち15種類を長波長に応答するグループ、2種類を中波長に応答するグループに分類しました。

中波長型の2種類は青色の光を主に吸収し、最大吸収波長は455ナノメートルと459ナノメートルでした。長波長型のうち12種類は緑色域に吸収のピークがありました。

残る3種類は赤色域まで感度が広がり、最大吸収波長は615、592、607ナノメートルでした。動物のロドプシンで600ナノメートルを超える波長にピークを持つ例は珍しく、シャコの眼にある緑色型とは異なる光の受け取り方が示されました。

色素フィルターと受容細胞の配置

シャコの眼の中央には、赤道に沿った6列の「ミッドバンド」があります。そのうち1〜4列は色の識別に関わり、5、6列は偏光の検出を担います。偏光とは、光の振動方向に偏りがある状態です。

色を扱う列のうち1〜4列では、受容細胞が3層に重なっています。各層が受け取る光は、上の層や色素フィルターによって変わり、2列目と3列目にはカロテノイドを含む小器官もあります。

フィルターだけで感度を赤側へずらすのではなく、波長ごとに異なる複数のロドプシンとカロテノイドフィルターの組み合わせが、列ごとの感度を形作ります。

光で変わるレチナールの結合状態

ロドプシンは、オプシンというタンパク質と、光を吸収するレチナールから成ります。レチナールはオプシンに結合し、光を受けると形が変わります。脊椎動物のロドプシンでは、11-シス型からオールトランス型への変化がオプシンの構造を変え、光信号を発生させます。

シャコのロドプシンでも、光を受けた後に別の波長の光を当てると吸収特性が戻る可逆的な反応が、青色型と赤色型の一部で見つかりました。青色型と赤色型では波長の変化が逆向きで、研究チームはその違いをレチナールの結合部位との相互作用で説明しています。

シャコの眼にある視物質は、光の波長を受け取るだけでなく、光によって吸収特性を切り替える性質も持ちます。レチナール周辺の結合環境は、ロドプシンごとの吸収波長の違いに関わります。

光の信号を伝える複数の経路

光を受けたロドプシンは、細胞内に信号を伝えます。今回調べたロドプシンには、GqまたはGiというGタンパク質を介するものがあり、光受容後の信号伝達にも多様性がありました。

研究チームは、眼のフィルターの影響を切り離してロドプシン自体を調べるため、タンパク質を細胞で発現させ、レチナールと組み合わせて吸収特性を測定しました。溶液中で安定しにくいNOL13については、細胞での光応答測定も行い、最大吸収波長を615ナノメートルと推定しました。