
攻撃的な突進が減り、活動量も低下
シロシビンは、マジックマッシュルームに含まれる精神作用物質です。カナダの研究チームがマングローブ・リバルスに低用量を与えたところ、同種の魚に向けた攻撃的な行動が減りました。
処置を受けた魚は、相手に向かって勢いよく泳ぐ「スイミングバースト」の回数が少なくなり、泳いでいる時間も短くなりました。この魚は同種個体への攻撃性が高く、研究では相手に向けた行動の変化を観察しました。
頭を向けて相手を示すような、エネルギー消費の少ない社会的表示行動には大きな変化が見られませんでした。
20分の水中曝露後に同じ相手と対面
実験では、魚を別の個体と同じ水槽に入れ、透明な網越しに相手を見たり、においを感じたりできる状態で行動を記録しました。5分間順応させた後、視界を遮る覆いを外して相手とのやり取りを観察しました。
最初の観察から24時間後、同じ魚をシロシビンを溶かした水に20分間入れました。その後、前日と同じ相手がいる水槽に戻し、覆いを外して行動を再び記録しました。
マングローブ・リバルスは自家受精でき、同じ系統の個体は遺伝的にそろえやすい魚です。研究では、行動観察用などに3つの遺伝的に異なる系統を使い、遺伝的な違いが結果に影響する可能性を抑えました。
行動の変化は魚での観察結果
スイミングバーストは、魚が相手に接触しなくても攻撃を強める際に現れる、高エネルギーの行動です。研究ではこの行動の回数に加え、魚が動いていた時間などを測定し、処置前後の変化を比較しました。
今回の観察対象は、成魚のマングローブ・リバルスへの単回の短時間処置です。長期間にわたる行動の変化や、繰り返し投与した場合の影響は対象に含まれていません。
研究チームは、魚を使った実験は人の臨床治療を検証したものではなく、結果をそのまま人に当てはめられないとしています。
セロトニンとの共通点は作用経路の検証が必要
哺乳類では、シロシビンから変化したシロシンがセロトニンに似た構造を持ち、脳内のセロトニン受容体、とくに5-HT2A受容体に結合します。セロトニンは神経伝達物質の一つで、哺乳類では気分や攻撃性などに関わる行動と結び付けられています。
研究チームは今後、シロシビンが神経の信号伝達やセロトニン経路にどう作用するか、行動の種類によって影響が異なるのはなぜかを調べる課題に挙げています。










