35人を対象に単回投与を検証
スウェーデンで行われた無作為化臨床試験では、中等度から重度の反復性うつ病がある成人35人に、シロシビン25mgまたはナイアシンを投与しました。シロシビン群は17人、ナイアシン群は18人で、両群とも17日間に心理的支援のセッションを5回受けました。
ナイアシンは、皮膚のほてりなどを起こし、どちらの薬を受けたか分かりにくくするためのアクティブプラセボです。症状は臨床家による評価と参加者自身の評価で測定され、臨床家の評価では投与8日後にシロシビン群の症状がナイアシン群より約7点大きく低下しました。
参加者自身の評価では、症状の差は投与2日後から現れ、102日目まで続きました。臨床家の評価でもシロシビン群の改善幅が15日目と42日目まで大きかった一方、主評価項目の365日目には群間差が統計的に有意ではありませんでした。
寛解率の差は1年後に小さく
投与42日後の寛解率はシロシビン群53%、ナイアシン群6%でした。1年後はそれぞれ53%と41%で、両群の差は小さく、偶然で生じた可能性もあります。
シロシビン群の寛解率は初週以降おおむね保たれましたが、ナイアシン群では1年の間に12%から41%へ上昇しました。追跡期間中に抗うつ薬を始めた人はシロシビン群で6人、ナイアシン群で7人でした。
試験は35人と小規模で、参加者の多くと症状を評価した臨床家が、割り当てられた治療を正しく推測していました。シロシビン群では一時的な頭痛、不安、幻覚などがあり、2人は数週間続く強い不安で医療的な対応を必要としました。
脳内の作用経路は複数の仮説
人を対象にした研究をまとめたレビューでは、シロシビンの作用について9件の研究が検討されました。うち3件はセロトニンまたはグルタミン酸の受容体活動を調べ、2件は脳の一部でシナプス形成の増加を報告しました。
扁桃体の血流変化を調べた研究は4件、前頭前野の血流変化を調べた研究は2件ありました。機能的結合や神経伝達の変化を報告した研究もあり、主に海馬や前頭前野が対象でした。
別の比較試験では、うつ病患者42人をシロシビン治療群とエスシタロプラム群に分け、治療前後の安静時脳活動を画像で調べました。両群で脳全体の階層的な活動パターンに異なる変化が見られ、変化の違いを機械学習で分類した際の治療反応予測精度は0.85±0.04でした。これらの知見は、単回投与試験で見られた症状の変化を特定の脳内経路だけで説明するものではありません。
心理的支援の内容と症状変化
シロシビンを使う治療では、投与前後の心理的支援や心理療法が組み合わされてきました。成人515人を含む10試験を分析した研究は、支援の方法を4種類に分類し、方法の違いと抑うつ症状の改善との関連を調べました。
分析では、マニュアルに沿った非指示的支援と比べ、ほかの3種類の支援方法で症状改善に有意な差は見られませんでした。心理的支援のプロトコルの違いは、シロシビン治療後の症状改善と関連しませんでした。
一方、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の考え方を取り入れた探索的試験では、中等度から重度のうつ病がある人に、プラセボの4週間後に体重1kg当たり0.3mgのシロシビンを投与しました。心理的柔軟性、マインドフルネスの複数の側面、価値観に沿った生活は投与後に改善し、16週目まで保たれました。心理的柔軟性と体験への受容の改善は、うつ症状の低下と強く関連していました。











