
空港で押収された30台のサーバー
マレーシア税関は、先端AIチップを搭載したサーバー30台を、輸出規制に違反した疑いで押収しました。貨物の価値は約5,000万リンギット(1,220万ドル(約19億円))で、10月15日にクアラルンプール国際空港の自由貿易区域で見つかりました。当局は、マレーシアを経由地として別のアジアの国へ再輸出する動きがあったとみています。
サーバーはアジアの国から運ばれ、申告書には「電気部品」と記載されていました。税関当局によると、必要な許可を得ずに次の目的地へ再輸出しようとしていました。税関局長のアスパリラ・アグ・トゥア氏によると、貨物を手配したマレーシア企業は捜査への協力を求められています。
今回の貨物は、税関が追っている密輸未遂の一連の事案に関連するとみられています。アスパリラ氏は、6月に同じ空港の自由貿易区域でAIチップ搭載サーバー72台を押収した件を含め、関係する事案は5件に及ぶと述べました。
6月の押収でも申告内容に不審点
6月5日には、クアラルンプール国際空港の倉庫でサーバー72台が押収されました。マレーシア税関のゼルキフリ・ムハンマド氏は、貨物がアジアの国へ再輸出される予定だったと述べています。当局は、輸出戦略取引法2010に関わる違反の疑いで調べています。
このときのサーバーは「コンピューター部品」と申告され、最終目的地へ制限なく運ぶため、マレーシアを経由地として使った疑いが持たれました。税関は貨物をさらに調べるため、輸送を手配した貨物運送会社にも捜査への協力を求めました。10月の押収では「電気部品」と申告されており、両方の事案でサーバーの内容と申告が食い違っていました。
税関局は、マレーシアを通過地にすることで、次の輸送先へ向かう際の制限を避けようとした疑いがあると述べています。当局は、6月の押収と今回の貨物との関連も調べています。
対象チップは性能基準で定義
マレーシアは2025年、高性能AIチップの輸出、通過、積み替えに許可制度を設けました。2025年7月14日付の戦略取引管理官指令により、戦略取引法2010に基づき、規制対象の活動に使われる可能性がある未掲載品目も管理されます。対象には、一定の処理性能や性能密度を満たす集積回路のほか、それらの回路を含むコンピューターや部品が含まれます。
規制対象のコードは、カテゴリー3の「3U090」「3A001.u」、カテゴリー4の「4U090」「4A003.u」「4A004.u」「4A005.u」、カテゴリー5の「5U992」「5A002.u」「5A004.u」です。3U090にはGPU(画像処理装置)やTPU(テンソル処理装置)、AI向けの専用回路などが含まれます。対象かどうかは製品名だけでなく、定められた性能条件によって決まります。
輸出、通過、積み替えを行う人は、チップが規制対象の活動に使われると知っている場合、またはその可能性を疑う合理的な根拠がある場合、少なくとも30日前に戦略取引事務局へ通知する必要があります。当局が取引を認めるか判断した後、対象となる活動には許可申請が必要です。申請には原産国の再輸出許可と、製造元による輸出管理上の品目分類を添付します。
事前判定と許可申請の流れ
産業向けガイドラインに沿った手順では、まず製造元の技術仕様や輸出管理分類番号を参照し、製品が指令の性能条件に該当するか確認します。該当する場合、または判定できない場合は、AIチップ評価フォームを作成します。条件に該当しない製品には、この指令による管理は適用されません。
評価フォームは、輸出、通過、積み替えの予定日の少なくとも30日前に戦略取引事務局へ送付します。フォームには、チップの型番や製造元、原産地、数量、輸送経路、最終目的地、利用者や用途などを記載する欄があります。事務局は内容を審査し、許可が必要かどうかを申請者へ通知します。
対象品目を虚偽申告したり、許可要件を回避したりした場合、輸出戦略取引法などに基づく執行の対象になり得ます。今回はサーバーが「電気部品」と申告されており、当局は取引を手配した企業にも協力を求めています。税関は捜査を続けています。











