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出典: UC Davis

2024年3月、南極のデンジャー諸島で見つかった数千羽のアデリーペンギンの死因は、鳥インフルエンザではなく、鳥コレラが中心だったとする研究結果が公表されました。調査した49個体のうち46個体から原因菌が検出され、H5N1が確認されたのは少数でした。H5N1の監視が続く地域で、別の感染症も野生鳥類の大量死に関わる事例です。

49個体中46個体から原因菌を検出

調査隊は2024年3月、デンジャー諸島のヒロイナ島とビーグル島を訪れ、アデリーペンギンやほかの海鳥の死骸を確認しました。採取した49個体の検体を調べたところ、46個体から細菌 Pasteurella multocida のDNAが検出されました。

鳥コレラは、この細菌によって起きる感染症です。検査に加えて病理学的な調査も行われ、調べた個体の大半で鳥コレラが死因と診断されました。

調査のきっかけには、南極半島でH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されたことがありました。2023~2024年の南半球の夏に南極で初めて報告されたH5N1は、野生動物への影響が懸念されていました。今回の検査ではH5N1も少数の個体で確認されましたが、大半の死因は鳥コレラでした。

鳥コレラは南極の海鳥で過去にも確認

原因菌の遺伝子解析では、今回の流行株は、20年以上前に南極の海鳥から確認された株と近縁でした。この結果は、南極の海鳥で鳥コレラが長期間にわたり確認されてきたことと整合します。

今回の株には、南大洋の別の地点で見つかった株との遺伝的な近さもありました。関連する地点は今回の調査地から8,000キロメートル以上離れています。これらの遺伝的な類似性は株同士の関係を示しますが、今回の感染がどの経路で広がったかを特定するものではありません。

鳥コレラは、過去にも南極・亜南極地域の海鳥で確認されており、1999~2001年には南極半島のホープ湾でアデリーペンギンなどの大量死の原因と診断されました。今回の事例は、同地域で鳥コレラが新たに現れたことを示すものではなく、過去の確認例に続く発生です。

H5N1の監視下で別の感染症を特定

今回の研究では、死骸から採取した検体の分子検査に加え、一部の個体で病理検査も実施しました。検査対象49個体の結果と死因の診断を合わせ、H5N1への懸念がある状況でも鳥コレラを主因として特定しました。

研究チームは、鳥コレラを南極の海鳥の死亡要因として考慮する必要があるとしています。2023~2024年の南極半島ではH5N1の検出や野生動物の死亡が報告されていましたが、今回のペンギンの大量死は別の病原体によるものでした。

死因の特定には、ウイルスの有無だけでなく、細菌や病理所見も含めた調査が関わりました。今回の結果は、南極の野生動物で大量死が起きた際、鳥インフルエンザ以外の感染症も調査対象となることを示しています。

遠隔地での野生動物の健康調査

デンジャー諸島には、繁殖するアデリーペンギンが120万つがい以上生息しています。調査隊は両島で数百羽の死骸を確認し、研究では大量死の規模を数千羽と推定しました。死骸にはペンギン以外の海鳥も含まれていました。

鳥コレラの原因菌が複数の個体で検出され、遺伝子解析でも過去の南極の株との近縁性が見られました。この検査結果をもとに今回の死因が診断され、研究チームは鳥コレラが南極の海鳥で継続して問題となる可能性に注意を促しています。

研究チームは、遠隔地で発生する野生動物の病気を継続的に調べる重要性を指摘しています。