『青い花』志村貴子 〈復活連載〉
出典: webcomic.ohtabooks.com

才能の外側にいる人々を描く

漫画家の志村貴子氏が、漫画『青い花々』の着想や制作の変化、LGBTQを描く責任について語りました。舞台芸術学校を舞台にした同作は、アニメ化もされています。志村氏は、物語の中心を「天才」や「選ばれた人」だけに置かず、舞台を支える家族など、通常は脇筋になりやすい人々にも目を向けたと説明しています。

同作は、異なる世代の生徒たちを描くオムニバス形式です。志村氏は、舞台の表側だけでなく、その背後で起きることを描くためにこの構成を選んだと話しました。

アニメ化にあたって、志村氏は制作側へ特別な要望を出さなかったと話しています。受け取った資料や制作チームとの打ち合わせから、スタッフが丁寧に取り組んでいると感じたと振り返りました。

宝塚を参考にしつつ、別の学校を描く

志村氏は、特定の舞台学校を題材にしたかったのであり、宝塚歌劇団をそのまま描こうとしたわけではないと説明しています。一方、宝塚歌劇団と宝塚音楽学校の影響力は大きく、意識せずに惹かれた面もあると述べました。漫画の参考にすることはありましたが、既存の要素をそのまま写さないよう考えたといいます。

宝塚音楽学校は、宝塚歌劇団への入団を目指す学校です。元雪組の早花まこ氏によると、入学資格は15歳から18歳までの女性で、受験倍率は平均約25倍でした。

早花氏は、入学後の2年間に礼儀作法や歌、ダンス、演劇、日本舞踊、タップダンスを学ぶと記しています。学校生活では複数回の試験があり、同期生の成績順位をめぐる競争もあったと振り返りました。

制服をめぐる変化を作品に映す

志村氏は、20代から30代に描いた『放浪息子』について、自分自身のために描いた作品だったと振り返りました。学校制服を扱った同作も、社会や個人の価値観が変化すれば、描き方や物語の可能性が変わると話しています。現在の日本では、女子生徒がスラックスを選べる学校もある一方、スカートを選ぶ男子生徒への見方はなお厳しいと述べました。

中日新聞は2021年、菅公学生服が手がける女子用スラックスを採用した中学・高校などが、累計約1,400校に達したと報じました。導入の背景には性差への配慮だけでなく、寒暖への対応や動きやすさも挙げられています。

中日新聞によると、愛知県犬山市立の全4中学校では、従来の詰め襟やセーラー服にブレザー型を加え、スカートとスラックスを選べる型も設ける予定でした。また、制服を性別で分けないことを求める声や、私服も含めて服装を自由に選べるようにする意見も紹介されています。

長期連載と描く責任

志村氏は『青い花々』を2011年から2024年まで断続的に描きました。仕事が増えたことや、年齢を重ねて体調を崩しやすくなったことから、以前のペースで制作するのが難しくなったと説明しています。

物語の前半に登場した、絶望して学校を去った岡部恵美と、その原因となった伊吹恵子の関係を未解決のままにできず、最終章に取りかかったといいます。二人の関係を掘り下げて結末を描くことは難しかったとも語りました。

志村氏は、自身の性自認が曖昧だったことを、LGBTQをテーマにした人物や物語を描き始めたきっかけとして挙げています。社会の意識が変わるなかで、自分の考えを一方的に押しつけ、若い世代に負担を与える可能性を以前より深く考えるようになったと述べました。

今後については、大人から子どもまで幅広い人が楽しめ、つらい時にも自然と手に取れるような漫画を描きたいと話しています。