
危険な任務をロボットに任せる構想
ウクライナのミハイロ・フェドロフ元国防相は2026年9月26日、リヴィウで「ロボット軍」構想を発表しました。兵士の命を守るため、弾薬の運搬や負傷兵の搬送、偵察など、最前線の危険な任務をロボットに担わせる計画です。
構想の中心はヒューマノイド(人型ロボット)です。機関銃の再装填やセンサーの電池交換、ドローンの発進など、現在は兵士が行う作業を引き受ける想定です。
フェドロフ氏は、最初の試作機が約1か月後に完成する見込みだとし、半年以内にヒューマノイドが敵兵を倒すことを初期目標に掲げました。1年以内には、最も危険な前線で人間の歩兵に代わり、ロボットとドローンが連携して作戦を行うことを目指しています。
高機能より、限られた作業と低コストを重視
フェドロフ氏が想定するのは、料理や洗濯までこなす万能型ではなく、限られた作業を確実に行うロボットです。泥や電波妨害、銃撃、通信障害がある環境で使うため、製造原価を1万〜2万ドルに抑える必要があると説明しました。
必要なソフトウェアを搭載できる既存のロボットは、1台およそ4万〜7万ドルとされています。計画では、価格を抑えた機体を大量に使うことを目指します。
構想発表時に流された映像には、人型のほか、車両型、多脚型、四足型などが登場しました。ただし、この映像は生成AIで作られており、登場したロボットの大半はまだウクライナの戦場では使われていません。

既存の地上ロボットと開発体制
ウクライナ軍はすでに、無人地上車両(UGV)を弾薬の運搬、負傷兵の搬送、地雷の敷設などに使っています。国防省によると、輸送や搬送に地上ロボットを使った任務は8月に2万5000件を超え、1月の3.3倍でした。
フェドロフ氏は、ロボット軍を単独企業ではなく、複数企業や技術者が参加する仕組みとして構想しています。同氏によると、ドローン軍は2022年に始まり、ウクライナには無人機メーカーが700社以上あり、戦場での攻撃の95%超をドローンが担っています。
同氏は、企業への投資、自前の技術開発、軍との試験を通じて、戦場で有効性が確認されたものを拡大する方針を示しました。ロボット軍の技術に取り組む企業や技術者に加え、CTOまたは技術リードも募集しています。

試験と人間の判断をめぐる課題
ウクライナ国防省と防衛イノベーション組織Brave1が進めるFPVドローンの試験には、8社のメーカーが参加しました。機体は最大25キロの距離を飛行し、電子戦による妨害下で標的を攻撃しました。いくつかの機体は試験全体を完了し、戦場環境で動作する能力を示したと国防省は説明しています。
この試験制度では、戦場データを基に、資金の80%を有効性の高いシステムへ、20%を新技術へ配分する方針が採られています。接近戦に近い条件で有効性を示した機体は、政府調達の手続きに進むとされています。
赤十字国際委員会(ICRC)は、自律型兵器を、人間の介入なしに標的を選び、武力を行使する兵器システムと説明しています。人間の管理を保つ手段として、任務や標的の範囲、兵器が作動する時間と場所、人間の状況把握、介入や停止の能力を挙げています。

ICRCはまた、攻撃における区別や比例性などの判断には、その時点の状況に応じた評価が必要で、法的責任を機械へ移すことはできないと指摘しています。設計や試験段階の管理だけでは足りず、兵器の起動時や作動中にも人間の管理が必要だという立場です。
現在、ウクライナの地上ロボットはほぼすべて人間が遠隔操作していますが、ロボット軍の構想には自律システムとAIも含まれます。ロボットが攻撃対象を選ぶ機能を持つ場合、機械に任せる任務の範囲や、人間が判断・介入する仕組みの設計が、実用化に向けた課題になります。










