
うつ病を対象とするシロシビン薬の承認をめぐり、Compass Pathwaysと非営利団体Usona Instituteの開発が並行して進んでいます。CompassはCOMP360の承認申請を近く完了する見通しを示し、Usonaは別の候補薬PSIL201を申請したと報じられています。どちらもFDAの審査段階に進みつつありますが、対象とするうつ病の種類や開発段階は異なります。
Compassは治療抵抗性うつ病向けCOMP360を申請へ
Compassは2026年11月3日、COMP360の段階的な承認申請を「今後2週間以内」に完了する見通しを示しました。同社はFDAの承認を条件に、2027年前半の発売を予定しています。
COMP360の対象は、治療抵抗性うつ病(TRD)です。これは、治療を受けても十分な改善が得られないうつ病を指します。Compassはこの候補薬について、TRD患者を対象にした第3相試験を進めています。
第3相試験COMP006では、COMP360を固定用量で2回投与された患者の39%が、6週時点でうつ症状の重症度に臨床的に意味のある改善を示したとCompassは報告しました。改善した患者では、その反応が26週時点まで続いたとされています。
UsonaのPSIL201は大うつ病性障害が対象
Usonaの候補薬PSIL201は、大うつ病性障害(MDD)を対象とします。CompassのCOMP360が治療抵抗性うつ病を対象とするのに対し、両薬は同じシロシビン系でも申請対象の疾患区分が異なります。
UsonaはMDDを対象とする第3相試験の登録を完了しています。第3相試験は、薬の有効性や安全性を評価する臨床試験段階です。UsonaのPSIL201については、2026年11月2日にFDAへの承認申請を提出したと複数の情報源が報じました。
PSIL201は、第2相試験で成人のMDD患者104人を対象に評価されました。6週間の試験では、25ミリグラムの投与群が主要評価項目を達成し、実薬対照群と比べて速やかで持続的な抗うつ効果を示したと2023年の論文が報告しています。Usonaは2019年、MDD治療を目的とするシロシビンの治験薬申請に対して、FDAからブレークスルーセラピー指定を受けました。
審査期間を短縮する優先審査枠
CompassとUsonaは、それぞれの候補薬について、FDAのCommissioner’s National Priority Voucher(CNPV)を保有しています。この制度では、審査期間が通常の10〜12カ月から1〜2カ月に短縮されます。BioSpaceはこの期間を伝えています。両社の申請時期と審査の進み方が、承認の順番を左右する要素になります。
CompassはCOMP360の申請完了を近く見込む一方、Usonaは先に申請を提出したと報じられました。BioSpaceは、CNPVによって両候補薬が年内に承認される可能性にも言及しています。Compassは2027年前半の発売を予定していますが、これはFDAの承認を条件とする見通しです。
臨床試験の結果は、候補薬ごとに異なる対象集団から得られています。COMP360の第3相試験は治療抵抗性うつ病を対象とし、PSIL201の第2相試験は大うつ病性障害の成人を対象にしました。
ケタミン関連薬との承認上の違い
米国FDAがすでに承認している薬には、麻酔薬のケタミンと、その誘導体であるエスケタミンがあります。エスケタミンは治療抵抗性うつ病の治療薬として承認されています。一方、シロシビンはうつ病治療薬として承認を目指している段階です。
NIDA(米国国立薬物乱用研究所)は、ケタミンとエスケタミンを解離性薬物に分類し、シロシビンなどの薬物とは区別しています。今回の競争は、あらゆる精神作用薬の中で最初の承認を争うものではなく、シロシビン候補薬の承認をめぐる動きです。
シロシビンを用いた治療の研究では、薬物投与を心理療法などと組み合わせる方法も検討されています。こうした薬物が治療にどう役立つかや適切な投与方法について、研究が続いています。










