
AIエージェント経由で飲食店に注文する仕組みが、DoorDashなどの配達アプリを使わない注文経路として動き始めています。米スタートアップのBitesはChatGPTから注文を受け、飲食店へ直接送るサービスを展開しています。注文の窓口がアプリからAIへ移ると、配達プラットフォームの手数料や広告、顧客データをめぐる関係にも影響する可能性があります。
ChatGPTから飲食店へ注文を直接送るBites
Bitesは、飲食店のメニューをChatGPT上で選んで注文できる仕組みを提供しています。注文はDoorDashのような第三者の配達プラットフォームを経由せず、飲食店へ送られます。
BitesはPOS(販売時点情報管理)システム企業と連携し、デジタル化されたメニューをAIエージェントに取り込んでいます。Bitesによると、連携後は飲食店がボタン操作で参加できます。
The Vergeが試した注文では、ピザと飲み物の配達料金は、チップと税、配達料を含めて56.73ドルでした。The Vergeによると、同じ注文をDoorDashで行うと70.29ドルで、サービス料が高く、同じピザの価格も11ドル高くなりました。
手数料と集客をめぐる既存プラットフォームとの違い
DoorDashは米国の飲食店向けに3つのプランを設けています。配達注文の手数料率はBasicで15%、Plusで25%、Premierで30%です。店頭受け取りの手数料は各プランで6%です。
DoorDashによると、月額料金や契約料はなく、注文が入ると手数料が発生します。上位プランには配達範囲の拡大や、アプリ内広告の掲載といった集客機能が含まれます。
飲食店向けの解説を執筆したBruce Xuは、直接注文サービスには月額料金や取引ごとの少額料金を設定する方式があると整理しています。また同氏は、配達マーケットプレイスは新規客の発見に役立ち、直接注文は収益性や顧客との関係を保つ手段になると位置づけています。
POS連携ではメニュー同期と注文の受け渡しが要になる
Bitesと同様にPOSと外部サービスをつなぐ例として、PieLineはClover、Square、Toast、NCR Aloha、Revelの5種類のPOSに対応するとしています。音声で受けた注文を、飲食店が使うPOSへ送る仕組みです。
PieLineによると、POSごとに認証方法や注文の送信先、メニュー項目の識別方法が異なります。そのため、注文の送信処理は利用中のPOSに合わせて変えています。
PieLineは、注文内容をPOSごとの形式に変換するアダプター層を設け、各POSの処理上限に合わせて送信頻度を調整すると説明しています。メニューの項目名やIDが変わると注文に失敗する場合があり、メニュー情報の更新も連携の一部です。
直接注文では顧客データも飲食店に届く
Bitesでは注文と顧客の連絡先が飲食店へ直接届きます。導入店のJay Jayaraman氏は、顧客に連絡できると話しています。一方、同氏はDoorDashから顧客データを「まったく」受け取っていないと述べています。
別のPOS連携サービスを紹介するZayosのガイドでは、POS側のメニューをオンライン注文側へ同期し、品目やオプション、価格を反映する方式を紹介しています。注文時には商品や変更内容、顧客名、受け取り方法などをPOSへ送り、厨房で手入力する作業を減らします。
Zayosの例では、オンライン注文の商品名とPOSの商品名を照合して注文を割り当てるため、両者の名称をそろえる必要があります。品切れ情報を注文先にも反映することや、オンライン決済済みの注文をPOS上で扱うことも、同社が挙げる連携項目です。
AI経由の注文が広告モデルにもたらす論点
AI経由の注文では、利用者が配達アプリを開かず、商品を探す画面にも触れない可能性があります。The Vergeは、AIエージェント経由の利用によって、アプリ内広告や目立つ掲載枠、関連商品の提案がどう変わるかを論点として紹介しています。
Amazonは、Sponsored Productsが広告事業で最大の提供形式であり、成長の主な要因だと説明しています。また、Sponsored Promptをクリックした買い物客は、クリックしなかった人と比べて購入率が48%高く、平均支出額が21%多かったとしています。
飲食店向け注文ガイドを運営するDirectOrdersは、注文経路として配達アプリ、自社サイト、SNSやメッセージ、音声AI、GoogleやAI検索を挙げています。同社は、マーケットプレイスを集客に、自社注文を利益確保に活用する組み合わせを提案しています。
DirectOrdersは、複数の経路から入る注文を一元管理する方法も紹介しています。









