
AMDは、Ryzen AI Max+ Pro 495を使った生成AIベンチマークの結果を公表しました。モデルによってはIntel製チップを上回りますが、比較条件やモデルの大きさによって数値の意味は異なります。Gorgon Halo世代は、最大192GBの共有メモリーに対応します。

AMDが示したComfyUIの比較結果
AMDはComfyUIを使い、Ryzen AI Max+ Pro 495とIntel Core Ultra X9 388Hの生成AI性能を比較しました。前者はメモリー192GB、後者は64GBの構成で、複数回の実行結果を平均しています。
AMDが公表した性能差は、モデルによって1.1倍から最大32.2倍です。ただし、この最大値は他の結果から大きく外れています。Tom's Hardwareは「Yuve」というモデルをHugging Face上で見つけられなかったと報告し、最適化上の問題や、比較対象のPCでモデルを実行できなかった可能性を挙げています。
この比較では、AMDとIntelの最上位製品を使っていますが、メモリー容量は異なります。RTX Sparkとの直接比較も行われていません。そのため、公表された倍率だけでは異なる製品群の性能を順位づけできません。
大規模モデルで示された生成速度
AMDによると、3200億パラメーターのGLM 5.3 Flashでは、Ryzen AI Max+ Pro 495が毎秒最大20トークンを記録しました。この測定では、UnslothのUD-IQ4_XS混合量子化形式を使っています。モデル全体のパラメーター数に対し、各トークンの生成で有効になるのは180億です。
別のQwen 3.8 Flash Nextでは、AMDは毎秒最大42トークンとしています。このモデルは、主要パラメーターが1250億、埋め込みパラメーターが510億で、マルチトークン予測用のパラメーターは約40億です。1トークン当たり約50億が有効になり、測定では動的4ビット量子化とマルチトークン予測を用いました。
いずれも「最大」性能です。文脈長が伸びると性能が低下することがあり、長い入力では生成速度が下がる可能性をTom's Hardwareが指摘しています。短い条件での最大値から、長い会話や文書を処理するときの速度は分かりません。
192GBの共有メモリーと製品の位置づけ
Gorgon Haloは、Ryzen AI Max+ Pro 495を含むAMDのチップ群です。前世代のStrix Haloを基礎に刷新され、主な仕様変更は共有メモリーの上限が128GBから192GBになったことと、495のブーストクロックが100MHz上がったことです。コア数とマイクロアーキテクチャーは前世代と同じです。
共有メモリーが多ければ、より大きなモデルをローカルで動かせます。ただし、メモリー容量の増加はモデルの生成速度向上を意味しません。AMDとNvidiaの製品を比較する際も、最大容量と処理速度は分けて考える必要があります。
AMDは、同社が「agentic PC」と呼ぶ製品をこれまでに50万台超出荷したと説明しました。この数字は、「AI PC」として紹介した数千万台とは別です。Tom's Hardwareは、Strix HaloまたはGorgon Halo搭載機を指すとみています。
AI PCからエージェントの実行環境へ
AMDは一般的なAI PCを、NPU、CPU、GPUを使って端末上でAI処理を行うPCと説明しています。NPUは、画像処理や音声処理などのAIタスクを加速するプロセッサーです。AMDによると、Ryzen AI搭載PCは対応機能をローカルで実行でき、ネット接続なしで使える機能もあります。
AMDが定義するAgentic PCは、AIエージェントと協働する日常的なPCです。導入方法によっては、エージェントを継続的に動かす専用コンピューターとして構成できます。AMDは、受信箱の整理やアプリをまたぐ計画作成を、AIアシスタントからエージェント型AIへ用途が変化する例として挙げています。
AMDは、複数の作業を自律的に進める段階では、高性能なローカルAIが必要になると説明しています。Agentic PCの用途として、ソフトウェア開発、IT運用、サイバーセキュリティーなど、複数工程にまたがる仕事を例示しました。Gorgon Halo搭載機の大容量メモリーは、こうしたローカルAIの実行環境を想定した製品の特徴です。
価格と比較で見るべき条件
Gorgon Halo搭載機はすでに販売されており、Minisforum MS-S1 Max-P495の最上位構成は約7,000ドルです。今後、異なる構成の製品が出れば価格帯が広がる見通しをTom's Hardwareが紹介しています。
発売済みの前世代Ryzen AI Max+ 395は、3つのモデルでNvidia DGX Sparkに対し、初回トークンまでの時間と毎秒生成トークン数の両方で下回りました。Gorgon Haloのメモリー増加はより大きなモデルの実行を可能にしますが、この比較結果から生成速度の向上が導かれるわけではありません。
執筆時点でRTX Sparkの性能結果は公表されておらず、AMDもベンチマークで同製品と直接比較していません。











