HIDARI - The Stop-motion Samurai Film
出典: hidari-movie.com

米企業との交渉が止まり、新たな相手を探す

人形を使ったストップモーションの時代劇映画『Hidari』は、米企業との資金調達交渉が停滞し、新たなパートナーを探しています。監督は川村真司氏、制作はドワーフ、Whatever、テカラトが担い、キアヌ・リーブスが声の出演をします。資金提供の条件に全権利の譲渡が含まれていたため、出資先の変更は作品の権利配分にも関わります。

ドワーフの松本紀子プロデューサーによると、米企業は制作費全額を負担する用意がありましたが、見返りに全権利を求めました。ドワーフは企画の主導権を保つため、権利の半分を保持し、日本側の出資分を集める案を検討していました。

交渉相手だった担当者らがハリウッドの混乱のなかで職を失い、話し合いは先へ進みませんでした。松本氏は「キアヌがいても火は止められない」と述べ、ドワーフは現在、新たなパートナーを探しています。

出資者の権利と収益を左右する資金調達方式

日本のアニメや映画では、複数企業が出資する製作委員会方式が広く使われています。出版社や放送局、配信事業者、玩具会社などが出資し、作品の権利を得るほか、赤字になった場合のリスクも負います。参加企業は出資比率に応じた収益を受け取ります。

製作委員会の参加企業は、自社の事業で作品を利用する「窓口権」を得る目的で出資することがあります。窓口利用料は出資者への分配より先に差し引かれるため、委員会の企業が出資分の利益より窓口事業から多く収益を得る場合もあります。一方、制作スタジオは委託料を受け取る立場にあり、作品が成功しても利益を得にくいと、Questryの伊部智信氏は説明しました。

この仕組みは国内向け作品には機能しやすい一方、海外展開を前提にすると出資の動機が弱まることがあります。海外向けの販売権を初期段階から計画すれば製作委員会方式も使えますが、国内で販売できる窓口が少ない共同製作では、日本企業が参加する利点を見いだしにくくなります。

国際共同製作では権利や収益の分け方が変わる

伊部氏によると、韓国では投資家、配給会社、プロデューサーの役割を分け、回収後の利益の約40%をプロデューサーが得る例があります。

国際共同製作の形は案件ごとに異なります。映画『Love on Trial』では、東宝主導の委員会が予算の60%、政府のJLOX補助金が29%、海外販売の先行契約が11%を負担しました。プロデューサーの山口慎氏は委員会の規模を東宝、Knockonwood、音楽会社の3社に絞り、フランス側の出資はKnockonwoodの持ち分を通じて受け入れました。

別の例である『Rental Family』では、米国のSight Unseenが2020年に初期資金を出し、2023年にSearchlight Picturesが参加しました。Searchlightは予算の90%を負担し、残り10%はJLOXのロケーション支援で賄われました。

パイロット資金と公的支援、制作上の制約

『Hidari』では、ドワーフが2023年に自己資金とクラウドファンディングの一部を使ってパイロット短編を制作し、その作品をきっかけにリーブス氏が参加しました。Questryは本編だけでなく、パイロットや開発段階の企画への出資も目指しています。伊部氏は、企画開発費を制作会社やクリエイターが自ら負担することが多い日本で、開発資金の重要性を指摘しました。

日本の文化庁による国際共同製作映画支援事業は、1時間を超える長編の実写映画とアニメーション映画を対象とし、対象となる製作費は1億円以上です。申請は国内の団体を通じて行う必要があります。2024年度の募集期間は12月17日から24日まででした。

ストップモーション映画では撮影工程を国外に分けにくく、共同製作で一般的な「予算の20〜30%を日本国外で使う」という条件を満たすのは難しいと松本氏は話しました。日本の共同製作制度や会計、言語面にも課題があると山口氏は述べています。ドワーフはフランスと台湾のパートナーと『Mogu & Perol』のシリーズ化を進めるなど、国外との協業を続けています。