
実験段階のエミュレーター「Eden-NX2」が、PC上で『マリオカート ワールド』などのSwitch 2向けゲームを動作させています。現時点では互換性や性能の改善が必要で、動作には高性能なCPUとGPUが求められます。
Eden-NX2で確認されたゲーム動作
Eden-NX2は、既存のSwitchエミュレーター「Eden」から派生し、Switch 2への対応を試みるビルドです。開発者のTakorokaは実験的な対応だと説明しており、公開後にはゲーム動作を示す動画が投稿されています。
動作が確認されたタイトルには『マリオカート ワールド』と『ドンキーコング バナンザ』があります。ただし、現段階では幅広いゲームの互換性や安定した性能が整った状態ではなく、動作には高性能なCPUとGPUが必要です。
この進展は、発売から間もないゲーム機のソフトがPCで動く段階に入ったことを示します。一方、実験的なビルドで一部タイトルが動くことと、多くのゲームを快適に遊べることは別の段階です。
CPU命令をPC向けに変換する仕組み
エミュレーターの動的リコンパイラは、ゲーム機向けCPU命令を実行時に読み取り、ホストとなるPCのCPUが実行できる機械語へ変換します。命令を逐一解釈する方式と異なり、変換したコードを実行することで処理を進めます。
既存のSwitchエミュレーター「suyu」では、動的リコンパイラがARM命令をホストCPU向けコードに変換し、メモリーの読み書きや命令キャッシュの無効化もエミュレーター側の機能と連携して扱います。 Switch 2向け対応でも、CPU命令の変換に加え、ゲーム実行に必要なメモリー処理などを成立させる必要があります。
TechSpotの記事では、Switch 2向けには既存エミュレーターの動的リコンパイラへ新しいArm64命令を加えることが対応の一部になるとされています。また、Vulkanを使う既存の描画エンジンや音声処理も活用できると説明されています。 これらの共通部分が利用できても、追加命令への対応や実機ソフトとの互換性を整える作業は残ります。
初代Switchとの共通点とSwitch 2の変更
初代SwitchとSwitch 2は、どちらもArm系CPUを採用しています。Switch 2のCPUは8コアのArm Cortex-A78Cで、64ビットのARMv8命令セットに対応します。 TechSpotの記事は、両機種で基本的なハードウェア構成やOSが大きく変わらないことを、エミュレーター対応を進めやすくする要素として挙げています。
GPUは初代SwitchがNvidiaのMaxwell世代、Switch 2がAmpere世代です。 Switch 2ではCPUの命令セットやGPU世代が更新されているため、初代向けのエミュレーターをそのまま使うだけでは対応できず、CPU命令の追加などが必要になります。
描画面では、Switch 2のGPUアーキテクチャと既存エミュレーターのVulkanベースの描画エンジンに互換性があるとされています。 CPUの命令変換や描画処理に既存の仕組みを活用できることが開発の足場になっていますが、実験段階のビルドで十分な性能が得られるかは、今後の互換性と最適化にかかっています。
Yuzuの停止後に続く派生開発
2024年、Nintendo Switchエミュレーター「Yuzu」の開発元Tropic Hazeは任天堂との和解に合意し、240万ドル(約3億8,000万円)を支払うことになりました。和解条件にはYuzuの運営停止が含まれ、開発元はコードリポジトリや関連サービスを終了すると表明しました。
その後も、Yuzuのコードを基にした派生プロジェクトが複数登場しました。2024年3月時点で、公開された派生版にはSuyuやSudachiなどがあり、エミュレーター開発者の一部は任天堂の法的措置を受けて慎重な姿勢を取っていました。
EdenもYuzuの流れをくむエミュレーターで、Eden-NX2はその派生としてSwitch 2対応を試みています。 Yuzuの終了後もコードを引き継ぐ開発が続いていることが、Switch 2向けエミュレーションの初期実装につながっています。








