
Apple TV 4KでSwitch向けゲームを実行
オープンソースプロジェクト「TVPort」を使い、第3世代Apple TV 4Kで『スーパーマリオ オデッセイ』と『あつまれ どうぶつの森』が動作しました。開発者によると、『スーパーマリオ オデッセイ』は毎秒60フレーム、『あつまれ どうぶつの森』は毎秒30フレームで動作します。
TVPortは、Nintendo Switch向けゲームをApple TV上で動かすソフトウェアです。ゲームデータは同梱されず、利用者が自分のゲームカートリッジから取り出したデータを使います。データの取り出しには、改造したNintendo Switchが必要です。
TVPortは「nxnative」から派生し、ゲームをApple TV用にビルドしてインストールするMacアプリを追加しています。ゲームのファイルや鍵は含まれておらず、所有するゲームを自分の本体から取り出して使うよう案内されています。
ゲームのコードをAppleのチップ上で実行
TVPortは一般的なゲーム機エミュレーターとは異なり、ゲーム本来のコードをAppleのチップ上で実行し、Switch向けのグラフィックスをMetal向けに変換します。MetalはAppleのグラフィックス処理技術です。
基盤となるnxnativeは、Switchのゲームデータから実行ファイルを取り出し、Apple端末向けに構成します。TVPortはこの仕組みをApple TVに対応させ、Macアプリからビルドとインストールを行えるようにしています。
技術解説によると、SwitchとA15 BionicはともにARM64系の命令セットを使います。ゲームの64ビット実行ファイルを書き換えてCPU上で動かし、Switchのシステムサービスはホスト層が受け持ちます。また、NVIDIAのNVNグラフィックス呼び出しをMetalへ変換します。
そのため、Apple TVで動かすにはゲーム側に64ビット版が必要です。たとえば『マリオカート8 デラックス』は更新データ2.0より前の版が32ビットのため、TVPortでは起動できないとされています。
A15の性能と冷却が動作条件に影響
TVPortがテストに使った第3世代Apple TV 4Kには、A15 Bionicが搭載されています。CPU Monkeyの仕様比較によると、A15は6コア、Nintendo SwitchのTegra X1は8コアです。GPUのメモリー帯域幅は、それぞれ毎秒34.1GB、毎秒25.6GBです。
同じ比較に掲載されたGeekbench 6の測定値は、A15がシングルコア2,370、マルチコア5,726、Switchがそれぞれ270、702です。GPUの単精度演算性能は、A15が1,713 GFLOPS、Switchが393 GFLOPSとされています。
第3世代Apple TV 4Kはファンを使わないパッシブ冷却方式で、搭載メモリーは4GBです。ゲーム機向けに設計されたSwitchとは筐体や冷却条件が異なります。TVPortの開発者は、負荷の高いゲームでは本体が熱くなり、処理が遅くなる可能性を挙げています。
TVPortでは『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』も第3世代機で動作し、携帯モードと3D解像度75%の設定で毎秒30フレームとされています。Apple TV 4Kの温度が上がると、ロード画面が大幅に遅くなるとも説明されています。
ビルドにはMacと開発者モードが必要
TVPortの利用には、Appleシリコン搭載Mac、macOS 26.6以降、Xcode 27.1が必要です。Apple TV側はtvOS 26以降に対応したApple TV 4Kで、開発者モードを有効にしてXcodeとペアリングします。
Macアプリでゲームデータのフォルダーと鍵を選び、接続したApple TVを指定してビルドとインストールを行います。初回ビルドには30〜60分かかり、同じゲームを次回以降にビルドする場合は数分で終わるとされています。
TVPortはオープンソースで、ゲームデータを配布していません。任天堂は非公式なゲーム実行手段をめぐり、2024年にエミュレーター「Yuzu」の開発チームを提訴しました。チームは240万ドル(約3億8,000万円)の和解金を支払い、開発を終了しました。











