トム・クルーズ主演の映画『Digger』は、北米で公開初週末に800万ドル、世界で2000万ドルを稼ぎました。製作費と宣伝費を合わせた支出は少なくとも約2億6000万ドルとされ、劇場公開での損益分岐点を大きく下回る出足です。 作品の評価や宣伝の訴求力に加え、製作規模に見合う観客を集められるかという興行リスクが浮き彫りになりました。
初週末の興収は事前予測を下回る
北米の初週末興収は、事前に見込まれていた1200万〜1500万ドルを下回りました。公開前には、この規模の映画が製作費を回収するには北米で4000万ドルの初週末興収が必要だという興行関係者の見方もありました。
海外73市場の初週末興収は1200万ドルでした。クルーズ作品は海外市場で興収の多くを稼ぐ傾向があるとVarietyは指摘していましたが、『Digger』は海外でも観客を集められず、北米と海外を合わせた世界興収は2000万ドルにとどまりました。
損益分岐点には複数の推計
製作費は1億6000万〜1億8000万ドルで、ワーナー・ブラザースは宣伝にさらに1億ドルを投じました。同種の映画を知る業界関係者の推計では、劇場公開での損益分岐点は世界興収約3億5000万ドルです。一方、同社の広報担当者は3億ドルだと説明しています。
映画の興行収入は映画館との分配があり、宣伝費や配給にかかる費用も考慮するため、製作費だけでは回収の目安を決められません。一般論として、損益分岐点は製作費の約2.5倍を目安に見積もる方法がありますが、これは概算です。 『Digger』についても推計に幅があり、いずれの数字を基準にしても初週末の世界興収との差は大きく、劇場公開で1億5000万〜2億ドルの損失が見込まれています。
評価と宣伝も観客動員の課題に
Varietyは、作品が批評家や観客から厳しい反応を受けた点を、初週末の不振をめぐる要因として挙げました。Rotten Tomatoesの評価は51%、CinemaScoreの観客出口調査は「C+」でした。 同作は石油王が世界的な危機を招く環境風刺を描く、R指定のブラックコメディです。Varietyは、この風変わりな題材に対する否定的な口コミが、観客の関心を弱めたと分析しています。
宣伝では、クルーズの過去作を振り返る映像を予告編に盛り込み、俳優としての長いキャリアを前面に出しました。Varietyは、過去のヒット作への親しみだけでは新作の観客動員につながらず、同作の内容そのものへの期待を高める訴求が課題だったと指摘しています。 また、クルーズはポッドキャストやテレビ番組などに出演しましたが、Varietyの見立てでは、こうした活動も興行を押し上げるには至りませんでした。
高額な作家性重視作品が抱えるリスク
高額予算の映画では、監督や出演者の知名度に加えて、予算に見合う規模の観客を動員できるかが収支を左右します。『Digger』の製作費と宣伝費は合わせて約2億6000万〜2億8000万ドルで、推計された損益分岐点は3億〜3億5000万ドルです。 それに対して、公開初週末の世界興収は2000万ドルでした。
ワーナー・ブラザースの別作品『ミッキー17』も、製作費1億1800万ドルに加えて宣伝費が8000万ドルかかり、劇場公開の損益分岐点は世界興収約2億7500万〜3億ドルと見積もられていました。同作は公開初週末に北米で1910万ドルを記録したものの、当時の世界興収は5330万ドルでした。 作品ごとに予算や公開後の興収は異なりますが、大型のオリジナル作品では、初週末の順位や北米での首位だけでは費用回収の見通しを測れません。『Digger』の初動は、製作規模と実際の観客需要の差が、興行収支に直結することを示しています。











