フランスの暴動、映画撮影と映画館に影響 ハリウッド作品のロケ地選びにも警戒
出典: acleddata.com

フランス各地で続く暴動を受け、映画の撮影現場では安全への警戒が強まっています。夜間外出禁止令は一部の映画館の営業にも影響しています。大規模な撮影中断は報告されていません。

南仏の撮影は続く一方、ロケ地選びに警戒

フランスでは、Netflix「エミリー、パリへ行く」最終シーズンやHBO「ホワイト・ロータス」第4シーズンなど、海外作品の撮影が行われています。南仏では「ホワイト・ロータス」の撮影が終盤に入り、ブラッドリー・クーパー監督・主演の「オーシャンズ」前日譚はモナコで撮影を終えようとしています。ナタリー・ポートマン主演の「Pumping Black」はニースで撮影中です。

「Pumping Black」のフランス人エグゼクティブ・プロデューサー、ラファエル・ベノワル氏によると、米国側は暴力の危険性について尋ねましたが、現場の撮影は順調に進んでいます。一方、スタジオの社内セキュリティ部門からは、パリとマルセイユを避けるよう注意があったといいます。

ベノワル氏は、パリでのロケハンを予定していても、スタジオが延期を求める可能性があると話しました。また、南仏はマルセイユを除けば、パリやリールほど暴動の影響を受けていないとも述べています。

ニースの制作スタッフにも広がった不安

「オーシャンズ」前日譚の制作サービスを担当するゴーモンのイザベル・デゴルジュ氏によると、スタッフはニースに滞在し、週末の店舗略奪を遠くから目にしました。撮影は土曜日と日曜日には行われず、スタッフが暴力に直接巻き込まれることはありませんでしたが、現場には不安が広がったといいます。

この作品は7月下旬にパリで撮影を始め、その後モナコへ移りました。モナコでの撮影を終えた後、ベルギーの水槽施設で数日間の追加撮影を行う予定です。

デゴルジュ氏は、暴力の映像がニュースやSNSで広がることで、米国のプロデューサーが当面フランスでの制作に慎重になる可能性を懸念しています。また、影響が数週間にわたり緊張を生むとの見方を示しました。

夜間外出禁止令で映画館の営業を短縮

マクロン大統領は月曜日以降、パリ、マルセイユ、リヨン、リール、リモージュ、ボルドーなどで地域ごとの夜間外出禁止令を出しました。フランス映画館連盟のリシャール・パトリ会長によると、対象となる映画館は約20〜30館で、国内には約2,500館あります。

パリの大型館UGCシネ・シテ・レ・アールは、観客が外出禁止時刻までに帰宅できるよう、最終上映を午後7時に繰り上げました。パトリ会長は、同館の早期閉館が営業に影響し、外出禁止令を理由に来館を見送る人もいると話しています。

レンタラック・フランスのエリック・マルティ氏によると、土曜日の観客動員は前週の同じ曜日より約10万人減りましたが、日曜日は前年の同じ曜日より8万人増えました。パトリ会長は、火曜日までの週の観客動員が前年の同じ週を12%上回ったと述べています。スタジオカナルの「レ・ミゼラブル」は公開初週に48万822枚のチケットを販売しました。

海外作品を受け入れる制度と今後の予定

フランスでは、海外企業が企画する映画やテレビ作品の撮影を対象に、TRIP(国際制作向け税還付制度)が設けられています。制度はフランス国内で制作の全部または一部を行う作品に適用され、フランスの制作サービス会社を通じて申請します。

対象経費には、フランスまたはEUの脚本家・俳優・制作スタッフへの賃金、専門会社の技術サービス、交通・移動・ケータリング費、減価償却費が含まれます。還付率は対象経費の30%で、フランス国内の視覚効果関連費用が200万ユーロ(約3億5,000万円)を超える場合は40%となり、1作品あたりの上限は3,000万ユーロ(約53億円)です。

作品にはフランスまたは欧州の文化・遺産・地域に関わる要素が必要です。実写作品はフランスで少なくとも5日間撮影し、フランス国内の対象経費が25万ユーロ(約4,400万円)以上、または世界予算の50%以上であることが条件です。

今週末には全国規模の抗議活動が予定され、軍の部隊も現地に加わる見通しです。一方、パリで初開催となるNFLの試合は日曜日に予定通り行われます。

10月29日には、セリーヌ・ディオンが公演したアコー・アリーナで、マックルモアの「Free Palestine」ツアーが開催予定です。ディオンは暴動前日の土曜日、パリでの復帰公演の第1弾を終え、シャンゼリゼ通り近くのホテルに戻りました。