One giant clam contains a month‑by‑month diary of the Great Barrier Reef’s climate 200 years ago
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グレートバリアリーフ北部のジーグルーで採取されたシャコガイの殻から、約200年前の海水温や雨の多い季節・少ない季節が月ごとに復元されました。現在の観測値と比べると、当時の水温は年間平均で0.6〜0.9℃低く、夏は0.9〜1.2℃低い一方、冬はほぼ同じでした。

殻の成長線と化学成分を気候記録に使う

シャコガイは成長に伴い、殻に日ごとの細かな線を作ります。季節ごとの変化は幅広い年ごとの帯に残ります。樹木の年輪のように成長の順序をたどれるため、殻の各部分ができた時期を推定できます。

殻に取り込まれる酸素や炭素の同位体は、周囲の海水の状態を反映します。今回の研究では、酸素同位体から過去の海水温を推定し、炭素同位体から降雨の手掛かりを読み取りました。

別種のシャコガイ、Tridacna maximaを使った飼育実験では、殻と海水の酸素同位体比の差の変動のうち、63%が海面水温の変動で説明されました。研究チームは両者の差と水温を結ぶ換算式を求め、推定水温の誤差は二乗平均平方根で±1.41℃でした。実験では海水の塩分を週ごとに測り、海水の酸素同位体比と水温も記録しました。

ジーグルーの夏は約200年前の方が涼しかった

研究対象は、ジーグルーの礁湖から採取された直径58センチのシャコガイの殻です。放射性炭素年代測定では、およそ1785〜1827年に生きていたとされ、顕微鏡で数えた成長線は約10,900本でした。

研究チームは殻に784か所の小さな穴を開け、各層から粉末試料を採取しました。成長線で時期を特定し、同位体分析と組み合わせて月ごとの環境記録を作成しました。

復元水温を同じ礁湖の1995〜2015年の観測値と比べると、約225年前は年間平均で0.6〜0.9℃低く、夏は0.9〜1.2℃低い結果でした。冬の水温は現在の観測値とほぼ同じでした。

雨季と乾季、数年ごとの変動も記録

炭素同位体には、雨の多い季節と少ない季節が繰り返す様子が表れていました。殻の記録からは、年平均の水温だけでは分からない季節の移り変わりも読み取れます。

水温は2〜3年周期で上下しました。研究チームは、この変動が地域的なエルニーニョ型・ラニーニャ型の変動と整合すると説明しています。1700年代末には暖かく乾燥したエルニーニョ型の時期が多く、1800年代初めには涼しく湿潤なラニーニャ型の時期が増えました。記録には、最も強い事例も含まれていました。

別のシャコガイ研究では、40年生きた化石のTridacna squamosaの殻を月単位で分析し、季節ごとの水温や年をまたぐ変動を復元しています。熱帯の海洋環境でも、殻の記録から季節や年ごとの変化を追えます。同研究は、殻の酸素同位体比が水温だけでなく海水の塩分にも左右されうる点を踏まえ、現生個体を使って地域ごとの関係を評価しました。

地域ごとの記録を重ねる意味と解釈の条件

ジーグルーの記録は、南半球の熱帯海洋に残る過去の気候情報を補います。研究チームによると、グレートバリアリーフやオーストラリア北西部のサンゴ、南極の氷や氷河、ガラパゴス諸島のサンゴ、ペルー北部の洞窟記録などにも、同時期の冷却や海洋・降雨の変化を示す情報があります。

ただし、各地の変化は一様ではありません。研究チームは、ジーグルーの冷却幅が北半球の多くの推定値より小さいことから、局所的な記録を比べる重要性を指摘しています。

殻の化学成分から水温を推定する際、同位体や別の化学指標は水温以外の要因にも影響されます。Tridacna squamosaの研究では、殻のストロンチウムとカルシウムの比率を用いた水温推定について、日中の測定で水温との相関が確認された一方、推定の不確かさは少なくとも±1.5℃とされました。また、成長線や殻の微細構造には生物の生理や環境条件も関係するため、殻の成長の変化をそのまま水温の変化とみなせない場合があります。