Servers in a Rack
写真: Abigor / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

日本企業を狙った不正アクセスの攻撃元インフラから、AIを使う自律型ペネトレーションテストツール「ARTEX」が確認されました。調査したインフラでは日本企業約20社が標的となり、同様の攻撃に使われたとみられるインフラが新たに6台見つかっています。

ARTEXの使用を攻撃元インフラから確認

GMOサイバー犯罪対策センターは、フォレンジックログの分析からAIによる攻撃の可能性が高いとみていました。攻撃元インフラを調べた結果、ARTEXの使用を確認し、当初の見立てを裏付けたとしています。

ARTEXは、大規模言語モデル(LLM)と連携し、脆弱性の探索や侵入テストを自動化するツールです。もともとオープンソースとして公開されていましたが、サイバー攻撃への悪用が報じられた後、開発者が公開を取りやめました。

ARTEXは、韓国の金融機関を標的とした攻撃でも使われていたとCrowdStrikeが報告しています。攻撃者のサーバーからはARTEXの設定ファイルや、AI開発ツール「Claude Code」のセッション履歴などが見つかりました。

日本企業約20社を標的にした攻撃

調査対象となった攻撃元インフラの1つでは、日本企業約20社が標的でした。そのうち9社は同じ業種のウェブサイトで、観測範囲では攻撃対象がほぼ日本企業に集中していました。

GMOサイバー犯罪対策センターは、標的とする国や業種ごとに攻撃キャンペーンを行い、キャンペーンごとに異なる攻撃用ホストを用意していたと分析しています。韓国の金融機関を狙った事例と合わせて、国や業種を絞った攻撃の形がうかがえるとしています。

同センターは、同様に日本企業を狙うAI利用の攻撃インフラをさらに6台発見しました。主な標的は、デジタルギフト・小売流通、教育・ギフト・印刷、ポイントギフト・マーケティング、保険・金融、EC・メディア・物流、ECでした。

AIが変える侵入の進め方

従来型の脆弱性スキャナーは、あらかじめ決められた項目を順番に調べます。ARTEXのような自律型エージェントは、LLMが目標を分解し、実際のツールを動かしながら見つけた情報を次の工程に使う仕組みです。

ARTEXの設計では、計画を立てる役割と、個々の作業を実行する役割を分けています。資産の情報と、どこまで調査したかの情報を別々のグラフに蓄積し、新しい発見をもとに次の作業へ進みます。

この仕組みでは、偵察から脆弱性の探索、攻撃計画、セキュリティツールの実行までを一連の流れとして支援できます。ARTEXは前の工程で得た情報を次の探索に反映するため、固定されたチェックリストを順番に実行するスキャナーとは異なる方法で進みます。

情報漏えい公表と調査の続行

標的として確認された日本企業のうち8社は、9月から10月にかけて情報漏えいを公表していました。GMOサイバー犯罪対策センターは、複数の事件に同一の攻撃グループが関与していると分析しています。

同センターは、さらなる被害を防ぐため、調査で得た情報を法執行機関に共有しました。また、日本や韓国以外の国も標的になっているかどうかを調べています。