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出典: The Jakarta Post

1991年から1998年、活動家ラウトの歩み

ヨセプ・アンギ・ヌーン監督の映画『The Sea Speaks His Name』は、スハルト政権末期のインドネシアで民主化運動に加わった学生ラウトと、彼の失踪後に行方を追う家族を描きます。レイラ・S・チュドリの同名小説を原作とし、釜山国際映画祭のコンペティション部門で上映されました。

物語は1998年、政府関係者がジャカルタのアパートに踏み込み、ラウトを連行する場面から始まります。拘束中に妹アスマラへ宛てた手紙を軸に、大学生だった1991年へと時間を戻し、彼が活動家キナンらと出会う経緯をたどります。

ラウトたちは、国家が禁じた文学を読む討論会に参加します。やがて話し合いだけでは不十分だと考え、学生による抵抗運動に加わりますが、政権の弾圧を受けて偽名を使い、身を隠すことになります。

失踪後に家族が引き継ぐ物語

映画の前半はラウトの活動を追い、1998年の拘束後は家族の視点へ移ります。家族は彼の行方を探し、残された手掛かりからこれまでの歩みをつなぎ合わせます。妹アスマラは兄の活動を引き継ぐ存在として描かれます。

原作小説『Laut Bercerita』は2017年12月に刊行され、1998年の抗議行動に向けた活動家の拉致や拷問、強制失踪と、その後の家族を扱っています。チュドリは2020年のインタビューで、作品は実際の出来事に着想を得たと説明しました。

英語版はジョン・H・マクグリンの翻訳で2020年2月に刊行されました。原作は30分の同名短編映画にもなり、レザ・ラハディアンとディアン・サストロワルドヨらが出演しています。

政権末期の失踪と責任追及

アルト・アンバラの報告によると、1997~1998年には民主化運動家の拉致が複数の時期に起きました。報告では、拉致された23人のうち1人が死亡し、9人が解放され、13人が行方不明のままだとしています。

インドネシア国家人権委員会は2006年の調査報告で、少なくとも13人が行方不明だとし、特別人権法廷の設置と刑事責任を負う疑いのある人物の捜査を勧告しました。2009年には国会も、特別法廷の設置と被害者家族への回復措置・補償を求める勧告を出しました。

2012年、アムネスティ・インターナショナルなどの団体は、失踪した13人の行方を調べ、十分な証拠があれば責任者を訴追するよう大統領に求めました。チュドリは2020年のインタビューで、この事件は未解決だと述べ、家族が真相を待ち続けていると語っています。

学生運動と禁書をめぐる統制

ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、新秩序体制では1970年代に学生の政治活動が禁じられ、大学や研究者も政府・軍の監視や統制を受けました。1998年には学生運動と政権に批判的な研究者が、変化を求める声を上げるようになりました。

同団体は、新秩序政府が禁書にした本は推計で2,000冊を超えると記しています。検事総長が「公共の秩序を乱す」と判断した作品は検閲の対象となり、1989年には情報機関や関係省庁の代表ら19人で構成する審査組織が設けられました。

禁書は国立図書館に所蔵されても、学生や研究者が閲覧するには治安当局などの許可が必要でした。1989年には禁書の所持や配布を試みた学生3人が逮捕され、7年から8年半の刑を言い渡されています。映画で学生たちが禁書を読む討論会から抵抗運動へ進む展開は、こうした統制のもとで描かれます。