Electric Plantは、植物の茎を流れる電気信号を読み取り、植物の状態を栽培者に伝えるセンサーとAIモデルを開発しています。同社はシードラウンドで1,120万ドル(約18億円)を調達しました。植物の電気信号は環境への反応や生理状態に関わり、同社はその解析を農業や林業での活用につなげようとしています。
茎の信号から植物の状態を読み取る
同社が開発するAIモデル「Bombadil」は、茎を流れる微弱な電気信号を解釈し、植物が必要とするものを栽培者に伝えます。植物に取り付けたセンサーが信号を集め、低電力の無線ネットワークで基地局へ送り、クラウド上のモデルが解析結果を顧客に返します。
センサーは折りたたんだiPhoneほどの大きさで、ステンレス製のねじを樹皮のすぐ下にある形成層まで差し込みます。形成層は生きた組織の層です。センサーは形成層に接続し、植物内で生じるマイクロボルト単位の変化を捉えます。
植物は、光や気温、水分などの環境変化に応じて電気的に変化します。電気信号には、刺激に応じて一定の閾値に達する活動電位、損傷を伴う刺激に関連する変動電位、局所的な環境変化に応じる局所電位があります。光や低温などの刺激は活動電位を生じさせる場合があります。火傷や切断などの刺激に伴う変動電位は、10秒から30分続くことがあります。
電気信号が示す反応とモデルの対象
植物の電気信号は、運動する植物だけでなく、一般的な植物の生理過程にも関わります。電気信号は植物体内を速く伝わり、環境刺激を受けた場所から応答する部位へ情報を届けます。植物の電気活動は、呼吸や光合成、師部輸送、植物の防御反応などにも関連します。
Electric Plantは過去3年間にデータを集め、Bombadilを約125種の植物に対応させました。対象にはシダ、セコイア、トマト、ダリアなどが含まれます。Bombadilは植物電気生理学の基盤モデルとして位置付けられ、学習対象に含まれない種の健康状態も扱います。
同社の「Bud」は、樹木に取り付けて電気信号を継続的に送る低価格のプローブです。同社は果樹園や樹木作物で、木ごとのストレスを早期に捉える用途を挙げています。信号の読み取り結果は、ダッシュボードやアラート、運用に合わせたエージェントを通じて示す構想です。
土壌水分や衛星観測とは異なる測定対象
土壌水分センサーは、土の中にある水分を測る手段の一つです。地上センサーは通常1平方メートル未満の狭い範囲を測り、設置地点の水分状況を把握するために使われます。地上観測網は広域を網羅できず、観測地点の間に空白が残る場合があります。
衛星観測では、レーダーが地表へ送ったマイクロ波の反射から土壌水分を推定します。レーダーは比較的細かな範囲を観測できますが、水分量の推定精度は別方式より低いとされます。一方、受動型の放射計は土壌が自然に放つマイクロ波を捉え、より広い範囲の水分量を推定します。
米国農務省の研究者らは、NASAのSMAP衛星による土壌水分データを作物監視に使う可能性を、打ち上げ前のシミュレーションデータで検討しました。この研究は郡単位の統計に利用できる可能性を示し、地上センサーによる観測値を使った検証も提案しています。こうした観測が測るのは土壌の水分であるのに対し、Electric Plantは植物体内の電気信号を読み取ります。
栽培現場への導入と資金調達
同社のセンサーは、既存の測定機器が一般に数千ドルするのに対し、数十ドルの価格帯です。1エーカーあたり数個のセンサーで測定できます。利用者が解析結果を使って、水やりや肥料のスケジュールを調整することを想定しています。
共同創業者で最高経営責任者のジャスティン・マスト氏は、システムによって収量を増やしながら水使用量を20%以上減らせると主張しています。これは同氏が述べた見込みです。同社は初期顧客の名前を公表していません。
調達した1,120万ドル(約18億円)のシード資金は、Onto VenturesとClimacticが主導し、複数の投資家が参加しました。Electric PlantはセンサーとBombadilの市場投入を進めています。










