
舞台と映画の仕事を続けられないと語る
英国の俳優ジュディ・デンチさんは、加齢黄斑変性による視力低下が進み、舞台に立つことも映画に出演することもできないと語りました。2012年に診断を受けてから10年以上がたち、読書も難しくなっているといいます。
デンチさんはBBCラジオ4の番組「Today」で、「舞台に立てない」「もう芝居も映画もできない」「もう読めない」と話しました。病気の影響で人の顔を認識しにくく、相手を取り違えて抱きしめそうになることもあると明かしています。
視力低下は、撮影現場で物を見ることや台本を覚えることにも影響してきました。デンチさんは近年、仕事を続ける難しさについて話しています。
70年以上にわたる俳優としての歩み
デンチさんの俳優としての活動は70年以上に及び、舞台、テレビ、映画にわたります。1999年には『恋におちたシェイクスピア』でエリザベス1世を演じ、アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。
映画『ゴールデンアイ』では、ジェームズ・ボンドの上司「M」を演じ、1995年に同役として初登場しました。デンチさんはこの役を演じた初の女性でした。
舞台や映画への出演が難しくなった後も、デンチさんは公の場に出て、視力の状態や生活について話しています。「ラジオはいつも大切だった」と述べ、音声での活動への思いを示しました。
加齢黄斑変性が視界に及ぼす影響
加齢黄斑変性は、網膜の中央にある黄斑が障害されて視力が低下する病気です。黄斑は視界の中心を見る働きに関わるため、初期には中心部がゆがんで見え、進行すると視力が低下したり、中心部が見えにくくなったりします。
病型には萎縮型と滲出型があります。萎縮型は黄斑の組織が弱っていくタイプで、進行は緩やかで経過観察となります。滲出型では黄斑に新生血管を伴う病変が生じ、進行を抑える治療が必要になることが多くあります。
滲出型の治療では、新生血管を抑える抗VEGF薬を眼内に注射する方法が一般的で、複数回の注射と長期の治療継続が必要になる場合があります。光線力学的療法も選択肢の一つです。進行すると視機能が改善しなくなることがあるため、早期発見と治療が必要です。
読書や移動を支えるロービジョンケア
視力の低下で日常生活に支障が生じた場合、残っている視機能を活用する支援がロービジョンケアです。文字を拡大する、コントラストを高める、まぶしさを軽減する遮光眼鏡を使うなど、見え方に応じた工夫があります。
読書には、手持ち型や卓上型の拡大鏡、画面上に文字を大きく映す拡大読書器、電子タブレットなどが使われます。視覚を使った補助が難しい場合には、点字や音声パソコンなど、視覚に頼らない訓練も選択肢になります。
支援は道具の利用だけでなく、移動や家事、就労などの訓練にも及びます。本人のニーズや視機能を評価し、補助具の訓練や社会適応訓練につなげます。デンチさんはラジオを大切な活動として挙げており、音声を通じた活動を続ける意向も語っています。











