
スクウェア・エニックスは、賞金総額10億円のゲームコンテスト「SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026」を開催します。個人や小規模チームを含む幅広いクリエイターから新しいゲームのアイデアを募り、受賞作の商品化や販売を支援する計画です。同社の齊藤陽介氏と時田貴司氏は、社内だけでは生まれにくい発想や新たな才能との出会いを開催の狙いに挙げています。
新しい発想とクリエイターを募る
齊藤氏は、1980年代にエニックスが開いたコンテストが堀井雄二氏や中村光一氏らの活動につながったことを挙げ、当時の仕組みを今のインディーゲームの勢いと結びつけ、新しいクリエイターを生み出したいと話しています。同氏は、受賞作を商品化し、応募者が世界へ進出する機会をつくるため、賞金を大規模にしたと説明しました。
時田氏は、長く続くシリーズ作品を継承する一方、時代を反映した新しいゲームも生み出す必要があると述べています。若い人やインディーゲームのクリエイターに加え、社内以外からも新しい作品を募る考えです。
応募対象は個人や小規模チームに限りません。齊藤氏は現役のゲーム開発会社からの応募も歓迎し、社内で制作枠を確保できず保留していた企画を形にする機会にもなり得ると話しました。時田氏は、ゲーム制作の経験がない人や、建築など別分野の専門知識を持つ人、小学生の発想にも期待を示しています。
応募作品は面白さを審査できる状態に
応募時点で完成度が100%に達している必要はありません。齊藤氏は、商品として発売する際には品質管理を行い、同社の他作品と同等の完成度を求める一方、応募段階では新規性、独創性、娯楽性を審査できる状態が必要だと説明しました。
時田氏は、全100ステージのうち10ステージまで遊べる状態でも、その範囲でゲームの面白さが分かれば審査対象になると話しています。完成率ではなく、企画の核を評価できるかが基準になります。
作品の特徴が365ステージあることなら、その特徴を評価できるだけのステージ数が必要だと齊藤氏は述べました。長編RPGの物語や後半の展開を売りにする場合も、短い試遊だけでは魅力が伝わらないことがあります。
4つの評価軸で審査、尖った作品も対象
審査基準は新規性、独創性、娯楽性、完成度の4項目です。一次審査では一般のゲームユーザーが映像を見て評価し、二次審査では同社の社員と一般参加者が企画書を確認しながら実際にプレイする予定です。一次審査は企画書とプレイ動画、二次審査は実行ファイルで行い、最終審査では面談します。
時田氏によると、三次審査では企画書や試遊に加えて、開発を最後まで進められるかを見極める個別面談も予定されています。齊藤氏は、4項目すべてで高評価を得る作品だけでなく、特定の魅力が突出した作品が評価される可能性もあると述べました。
最優秀賞は1作品で賞金3億円、傑作賞は4作品で各1億円、優秀賞は10作品で各3,000万円です。15作品を必ず選ぶ方針について、齊藤氏は「該当なし」としないために明言したと説明しています。応募資格は日本国内在住の個人、グループまたは法人で、完全オリジナルかつ他コンテスト未受賞、未発売の作品が対象です。
受賞後は販売や開発を支援
受賞作品には、スクウェア・エニックスが販売、品質管理、技術面で協力し、世界展開を目指す作品にはローカライズも手厚く行う考えです。出版、配信、マーケティングを含むパブリッシングへの協力と、売り上げに応じた印税の支払いも賞の内容に含まれます。
齊藤氏は、クリエイターの意向を尊重し、同社が資金を出す代わりに作品へ一方的に口を出す形にはしたくないと述べました。音楽制作の相談や、同社キャラクターの活用を提案する場合はあり得ますが、採用するかどうかはクリエイターの判断を尊重するとしています。
受賞作の知的財産権は、クリエイターとの共同著作とし、権利の割合は基本的に1対1とする予定です。インディーゲームの契約では、開発者が権利を保有してパブリッシャーに販売ライセンスを与える形や、双方で権利を共有する形などがあります。前野弁護士は、契約ごとに支援の分担や権利の扱いが異なるため、役割を文書で明確にすることが重要だと述べています。
Voyer Lawが分析した130件超のパブリッシング契約では、開発資金の提供がある契約でも93.2%で開発者がIPを所有していました。同調査における開発者の平均収益シェアは、資金提供ありの契約で57.9%、なしの契約で67.9%です。
応募受付は2026年12月15日に始まり、締め切りは2027年3月15日23時59分、受賞発表は同年6月30日の予定です。対象プラットフォームはモバイルとPCで、企画書、最大20分の限定公開プレイ動画、実行ファイルを提出します。AIを利用する応募者には、使用ツールの開示と権利保証が求められ、商品化の際には必要に応じて生成箇所の書き直しや再構成を行います。









