
予告編で注目された暗く冷たい色調
HBOの新作「ハリー・ポッター」シリーズの予告編は、2001年公開の映画より暗く、寒色寄りの色調です。
Creative Bloqは、予告編の色調に対する反応として、映画版の暖かく鮮やかな画面との違いや、近年の映画で色調をめぐって起きた議論との類似を紹介しました。予告編の色調がシリーズ全体の最終的な色調を反映するとは限りません。
新シリーズは全8話の第1シーズン「ハリー・ポッターと賢者の石」をクリスマス当日に配信する予定です。撮影監督のアドリアーノ・ゴールドマンは、シリーズをより現実的で地に足の着いたものにしたいと述べています。
色調は補正と演出で作られる
カラーグレーディングは、撮影後に映像の色や明るさを調整する工程です。Skrrol AI Editorialは、撮影時の露出やホワイトバランスを整える「補正」と、作品の雰囲気を作る「ルック」の適用を区別しています。
補正では、画面全体の露出やコントラスト、色かぶりを調整します。その後のクリエイティブな調整では、影やハイライトなどの色を変え、映像に意図した印象を加えます。
たとえば、影を青緑系、肌などの明るい部分をオレンジ系に寄せると、人物と背景の色の対比が強まります。Skrrol AI Editorialによると、この組み合わせは近年の大作でよく使われる色調の一つです。
デジタル撮影で暗い場面を扱う幅が広がる
カラーグレーディングの前提となる映像は、撮影機材によっても変わります。旧作8作は35ミリフィルムで撮影されましたが、現在の映画やシリーズの多くはデジタル撮影です。
Creative Bloqが紹介した映像担当者のヤクブ・ゴリスによると、デジタルカメラは従来のフィルムカメラより広いダイナミックレンジと暗所撮影能力を備えています。そのため、暗い照明でも場面の細部を捉えやすく、明暗差の大きい場面も撮影しやすくなったといいます。

映画撮影機材を比較したFrame & Focalによると、フィルムは明るい部分が徐々に圧縮される一方、デジタルセンサーは飽和するまで直線的に反応し、上限を超えると急に白飛びします。暗所性能についても、Frame & Focalはデジタルセンサーの高い光電変換効率を挙げ、暗い環境で色を保ちやすい特性を紹介しました。
Frame & Focalによると、ISO 100のKodak Portra 400のダイナミックレンジは約12.2段、Canon EOS R5はISO 100で14.7段です。これらは同媒体が取り上げたフィルムとデジタルカメラの測定例で、映画シリーズの撮影条件そのものを示す数値ではありません。
撮影方式と演出が新作の印象を形作る
映画撮影機材を比較したFrame & Focalによると、フィルム銘柄Vision3 5219のダイナミックレンジはハイライト側で13.2段、シャドウ側で9.8段です。一方、デジタルシネマカメラのARRI Alexa LFはISO 800で14.8段、RED Komodo-XはISO 800で16.2段です。
こうした撮影能力の違いは、暗い場面にどれだけ光を当てるか、撮影後にどの範囲まで明るさや色を調整できるかに関係します。ゴリスは、デジタルカメラの機能が2001年当時より増えたことに加え、青緑とオレンジの色調が広く使われる傾向も、新作の見た目に関わる要因として挙げています。
機材の特性だけで新作の画面が決まるわけではありません。ゴールドマンが述べた現実的で落ち着いた方向性も、予告編の暗く抑えた色調に関わる制作意図の一つです。












