
Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは、Unreal Engine 6でAIを使った開発ワークフローを拡大する方針を示しました。2027年の発売を予定する同エンジンでは、長年使われてきたビジュアルスクリプティング機能「Blueprints」を廃止し、AI支援による移行を導入する計画です。
スウィーニー氏は、AIを活用する開発と活用しない開発の間で競争力の差が広がるとの見方を示し、AI導入の流れは「逆転しそうにない」と述べました。 EpicはAIによるワークフローの加速をUnreal Engineに取り込み、ゲーム開発を支援する考えです。
同氏は、移行当初は負担が生じる一方、その後の生産性は大きく向上すると説明しました。また、AIを使った開発では、使わない場合に比べ生産性が最大4倍になる可能性があると述べています。
Blueprintsが担ってきた役割
Blueprintsは、ノードと呼ばれる処理の部品を線でつなぎ、ゲーム内の要素や動作を組み立てる仕組みです。 Unreal Engineのエディター上で視覚的に操作でき、デザイナーがプログラマー向けの概念やツールを使ってゲームの処理を作れます。 C++で用意した基礎機能を、デザイナーが拡張する使い方もあります。
たとえば、レベルごとのイベントや、マップに配置するキャラクターなどの機能をBlueprintsで扱えます。 ノードのグラフは、イベントや関数、変数を組み合わせて構成します。 オブジェクトの初期設定や、ゲーム中のイベントに応じた処理にも使われます。
Blueprint Classは、既存のゲームプレイ用クラスを拡張して新しい種類のオブジェクトを作り、マップ上に配置できる仕組みです。 レベル内のイベントを扱うLevel Blueprintは、レベルごとに用意され、シーケンスやレベルストリーミングの制御にも使われます。 こうした用途があるため、Blueprintsの廃止は開発者が慣れた処理の組み立て方を変える計画でもあります。
C++との併用と移行の負担
Unreal EngineではBlueprintsだけ、またはC++だけで開発できますが、多くのプロジェクトでは両方を組み合わせます。 C++で基礎となる機能を作り、Blueprintsから利用できるようにする構成が示されています。 Blueprintsは動作を定義しやすく、作成や変更、テストを素早く繰り返せるため、試作にも向いています。
一方、C++は新しいシステムの構築や低水準の機能へのアクセスに適し、複雑な処理や外部ライブラリーとの連携にも使えます。 大きなBlueprintのグラフより、大規模なC++ファイルのほうが変更しやすいとされています。 どちらをどの程度使うかはプロジェクトやチームにより異なります。
この違いを踏まえると、BlueprintsをなくしてAI支援へ移る計画は、従来の視覚的な編集に慣れた開発者にも影響します。 Epicは移行支援としてAIを使う方針ですが、その作業が各チームでどう進むかは示されていません。 スウィーニー氏自身も、切り替えの初期には負担が生じると認めています。
Epicが示すAI活用の方向
スウィーニー氏は、AIツールの普及がゲーム開発を含む幅広い変化を促していると述べ、中国や韓国で導入が進んでいるとの認識も示しました。 そのうえでEpicは、Unreal EngineのワークフローをAIで加速させる考えを示しています。 最大4倍という生産性の数値は、同氏が述べた見通しです。
同氏は、ゲーム業界の競争力のあり方が大きく変わるとの見方を示し、日本から多様な革新が生まれることが重要だと述べました。 近年は日本の開発会社が自社エンジンからUnreal Engineへ移る例があり、記事ではスクウェア・エニックスとアトラスが挙げられています。 一方、エンジン移行に慎重な開発者もおり、ゲーム制作でのAI利用をめぐる議論は続いています。
Unreal Engine 6の発売予定は2027年で、EpicはBlueprintsからのAI支援移行と、AIを軸にした開発環境への転換を掲げています。 スウィーニー氏は発言の趣旨について、AIは今後もなくならず、Epicは開発者に利点を届けるため全面的に取り組むという表現に言い換えました。 計画の実現と移行後の生産性は、今後の開発環境で示されることになります。










