
「選ばれし英雄」型への飽きが企画の出発点
Warhorse Studiosの共同創設者マーティン・クリマ氏は、主人公が世界を救う「選ばれし英雄」となるRPGの筋書きに飽きていると語りました。こうした作品が繰り返されているという見方が、『Kingdom Come: Deliverance』の着想につながったといいます。
クリマ氏は、壮大な使命を背負う物語そのものを否定しているわけではありません。力を得て活躍する展開が悪いのではなく、似た型の作品が多く、繰り返しに感じられることが不満だと説明しました。
同氏は、16〜17歳なら力を得る物語を好むかもしれない一方、ゲームのプレイヤーの年齢層は上がっていると指摘しました。『Expedition 33』を批判する意図はないとも述べ、特定作品への評価ではなく、RPGの定型への問題意識だと説明しています。
ヘンリーは無名の鍛冶屋の息子から成長する
『Kingdom Come: Deliverance』の主人公ヘンリーは、銀山の町スカリッツに暮らす鍛冶屋の息子です。ゲーム序盤では剣をうまく扱えず、世界を救う使命や特別な力を持つ英雄として登場するわけではありません。
村が襲撃された後も、ヘンリーが突然力を得る展開にはなりません。まずは逃げ延びる立場にあり、戦闘技術も訓練を通じて身につけていきます。
成長は数値の上昇だけでなく、プレイヤー自身が戦闘のタイミングを覚える過程として描かれています。ヘンリーは序盤から熟練の戦士として振る舞いません。
世界を救う使命ではなく、身近な目的を追う
ヘンリーの物語では、王国の危機や世界の終わりを防ぐことではなく、父の剣を取り戻すことが身近な目標として置かれます。小さな目的でも、主人公にとっての重みを描く構成です。
ヘンリーは貴族ではなく、領主たちの社会に属さない立場から物語に関わります。身分による摩擦や、周囲から一人前として扱われない状況も、彼の立場を形作ります。
プレイヤーの年齢層をめぐる指摘
クリマ氏の「プレイヤー層は年齢を重ねている」という発言に関連し、米国のエンターテインメントソフトウェア協会(ESA)は2025年の調査結果を公表しています。調査によると、米国の5〜90歳の定期的なプレイヤーは2億510万人で、平均年齢は36歳でした。
ESAによると、米国の成人の60%は毎週ゲームを遊んでいます。また、35歳以上がプレイヤー全体の半数を占めるとしています。
これらの数値は米国のプレイヤーを対象にしており、RPGの好みや、クリマ氏が述べた年齢層についての見方を直接測ったものではありません。ゲームを遊ぶ人の年齢が幅広いことは示しますが、特定の物語形式への需要までは示していません。
定型の反復と開発費のリスク
クリマ氏は、同じ型の作品が続く理由として、出版社が過去に成功した形式を再利用する傾向を挙げました。例としてユービーアイソフトの作品群に触れ、初期作は楽しめても、同じゲームを何度も遊ぶと新鮮さが薄れると話しています。
同氏は、同社作品のアニメーションやモデルの品質、バグの少なさを評価しています。そのうえで、そうした制作力を別のゲーム設計に生かせるのではないかという考えを示しました。
一方、大型シリーズに投じられる資金を考えれば、実験的な作品に切り替える判断には経済的なリスクが伴うとも認めています。クリマ氏は、この問題に簡単な答えはないと述べました。












