white mushroom bloom during daytime close-up photo
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幻覚作用をもたらす量のシロシビンを初めて摂取した健康な成人では、体験中に脳波の不規則さが増し、その変化は後日の心理的洞察やウェルビーイングの向上と関連しました。一方、1か月後に残る脳機能の変化は小さく、研究者は結果の再現が必要だとしています。

28人を対象に低用量と25ミリグラムを比較

研究には、シロシビンなどの幻覚剤を使った経験のない健康な成人28人が参加しました。平均年齢は41歳で、参加者はまず1ミリグラムを、その1か月後に25ミリグラムを経口摂取しました。1ミリグラムは顕著な幻覚作用を起こさない比較条件として設定されました。

投与順を固定したのは、25ミリグラムの影響が後のセッションに持ち越される可能性を考慮したためです。参加者には各回で最大25ミリグラムを受け取ると伝えられ、実際の量は伏せられました。両日の投与は、照明を落とし、音楽やアイマスクを用いた環境で、限定的な指示のもと見守りながら行われました。

研究チームは投与前と投与後1、2、4.5時間に脳波を測定し、脳画像は研究開始前と各投与の1か月後に撮影しました。脳波は頭皮上の電極で電気活動を記録する方法です。脳画像には、血流を手掛かりに活動を調べる機能的MRIと、神経線維の束を調べる拡散テンソル画像法が使われました。

体験中にエントロピーが上がり、アルファ波は低下

25ミリグラムの摂取後、脳波のエントロピー、すなわち信号の不規則さや圧縮しにくさを示す指標は、1時間後と2時間後に大きく上昇しました。同じ時間帯には、安静時に見られるアルファ波の強さが低下しました。1ミリグラムの条件では、こうした脳波の変化は確認されませんでした。

シロシビンはセロトニン2A受容体を刺激する物質で、この受容体の働きが脳活動の変化に関わると考えられています。チューリヒ大学の学位論文に記載された実験では、受容体を遮断する薬剤ケタンセリンが、シロシビンによる気分の高まりや否定的な表情の認識への影響を抑えました。

同論文の視覚課題では、シロシビンによって初期の視覚反応を示すP1電位が増し、物体の認識に関わるN170電位が低下しました。N170の変化は視覚体験の変化と関連し、ケタンセリンによって抑えられました。これらは受容体の関与を示す別の実験結果であり、今回の研究で測定されたエントロピー上昇そのものの仕組みを確定するものではありません。

1か月後の心理指標と脳画像の変化

25ミリグラムの摂取後、心理的洞察の得点は比較条件より翌日に約51点高く、1か月後も高い状態でした。ウェルビーイングの得点は、14から70までの尺度で比較条件より約4.7点上昇しました。また、参加者は1か月後の認知課題で、隠れたルールの変更に対応する際の誤りが減りました。

脳画像では、前頭前野と線条体、視床を結ぶ白質経路で、神経線維に沿った水の拡散を示す軸方向拡散性が低下しました。白質は脳領域間で信号を運ぶ神経線維の束です。機能的MRIで測定した脳活動の長期変化は概して弱く、主要評価項目である機能変化の多くは統計的に明確ではありませんでした。

体験中のエントロピー上昇が大きい参加者ほど、翌日の心理的洞察や1か月後のウェルビーイングの改善が大きい傾向がありました。統計分析では、翌日の洞察がエントロピーと後のウェルビーイングの関連を部分的に説明しました。一方、エントロピーは白質の変化を予測しませんでした。

うつ病の治療研究とは対象と評価項目が異なる

健康な未経験者を対象にした今回の研究は、25ミリグラムを1回投与した後の脳活動と心理指標を調べたものです。これとは別に、中等度から重度のうつ病患者59人を対象とした試験では、シロシビン治療とエスシタロプラムを比較し、両群に心理的支援を行いました。シロシビン群は25ミリグラムを2回受け、追跡調査は6か月にわたって実施されました。

その追跡調査では、うつ症状の指標は両群でおおむね同程度でした。一方、仕事や社会生活への適応はシロシビン群で3か月後と6か月後により改善し、人生の意味に関する指標も各追跡時点でより改善しました。これは患者の症状や生活上の指標を比べた結果で、健康な参加者の脳波・脳画像を調べた今回の結果とは、対象者も評価内容も異なります。

うつ病患者の試験では、追跡中にシロシビン群の30.7%、エスシタロプラム群の43.5%が追加の治療を受けました。また、長期追跡の時点では参加者が割り当てられた治療を認識していました。今回の脳画像研究も、全員が低用量の後に高用量を受ける固定順序で、事前登録のない探索的な設計でした。研究者は、脳の変化と心理指標との関係を確かめるには、より大規模で統制された研究が必要だと指摘しています。