出典: gamespark.jp

新作映画「バイオハザード」は、レオンやクリスらの活躍ではなく、戦闘経験のない一般市民が事件に巻き込まれる過程を描きます。ゲームの設定や登場人物を忠実に再現するより、武器を手にしても安心できないプレイヤーの感覚を映画に移す構成です。ゲームシリーズのクリーチャー表現を取り込みながら、恐怖の中心を「何が起きるか分からない状況」に置いています。

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主人公を一般市民に置いた理由

ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の実写映画シリーズは、回を重ねるにつれてアクション色を強め、主人公アリスの能力も高まっていきました。2021年の「バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ」は、初期ゲームの要素を再構成したリブート作品です。新作は、シリーズの既存キャラクターを主役に据える方法から距離を取っています。

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主人公は、ヒーローでも特殊部隊員でもない名もなき市民です。レオンやクリスの活躍を描くのではなく、彼らの物語の裏側で普通の人がバイオハザードに遭遇したらどうなるかに焦点を当てます。Game*Sparkは、この選択によって既存キャラクターの改変に伴う賛否を避けながら、シリーズの世界を別の視点から描いていると評価しています。

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この構図は、一般市民が主人公となるゲーム「バイオハザード アウトブレイク」にも通じます。ファミ通によると、同作はラクーンシティの事件を舞台に、市民たちが脱出を目指すスピンオフ作品です。作中の年表では、事件は「バイオハザード2」「3」と同じ1998年9月に位置づけられています。新作映画は「アウトブレイク」の映画化ではなく、ゲーム本編の事件の傍らにいた市民を描く点で、共通する視点を持っています。

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ゲームの再現より、プレイヤーの不安を映像に

映画はゲームを操作しているような感覚を演出に取り入れつつ、カメラを一人称視点に固定してはいません。物語の進行に合わせて、主人公はハンドガンを手にし、その後ショットガンやマシンガン系の武器を得ます。武器が段階的に増える流れはゲームの進行を思わせますが、銃を入手しても危険が消えるわけではありません。

主人公は銃器の扱いに慣れておらず、武器を持ってもすぐに敵を倒せる存在にはなりません。そのため、武器の獲得が安全につながらず、逃げるか戦うか分からない緊張が保たれます。Game*Sparkは、タイプライターやグリーンハーブが世界の一部として配置されていると評価しています。

ゲーム内の約束事も場面に織り込まれています。たとえば、小さな鍵は銃で壊せても大きな鍵は壊せないという仕掛けが、物語の流れに沿った笑いとして使われます。

「4」以降の怪物と「7」以降の恐怖

クリーチャーの造形には、「バイオハザード4」以降のプラーガ系やウロボロス系を思わせる生物的な変異が見られます。中盤には「バイオハザード7」に登場したファット・モールデッドを彷彿とさせる存在も登場します。特定の一作をそのまま映像化するのではなく、シリーズに蓄積された怪物表現を組み合わせています。

一方、恐怖の作り方は「7」以降のサバイバルホラーに近いとGame*Sparkは捉えています。「7」は一人称視点と閉鎖空間の探索を通じ、超人的なエージェントではない人物が未知の脅威に追われる感覚を強めました。新作も一般市民を中心に据え、怪物の強さだけでなく、人間側の無力さを恐怖につなげています。

Game*Sparkは、クレッガー監督の「バーバリアン」や「ウェポンズ」に見られる、人間なのに何かがおかしいという不安が、感染者の描写と相性がよいと評価しています。意思疎通ができそうでできない相手や、理屈の通じない存在が迫る感覚が、感染者の予測しにくさと結びつきます。こうした監督の作風とシリーズの怪物表現が、一般市民の視点を通じて結びついています。

原作の設定を借りて、別の時間軸を描く

映画は、パンデミック初期から物語を始めます。スマートフォンが登場するため、舞台は1990年代のゲーム本編と同じ時代ではありません。「バイオハザード2」と並行する位置づけでありながら、ゲーム本編そのものとは異なる時間軸として描かれています。

Game*Sparkは、武器やアイテム、クリーチャーの意匠にシリーズの要素を見いだしつつ、映画の核は原作の設定の再現ではないと評価しています。何が先に待っているか分からず、武器があっても安心できないという、プレイヤーがゲームで味わう感覚を映像に置き換える試みです。

Game*Sparkは、ゴア描写の多さや、ミラ版のようなアクション性を期待すると印象が異なる点も挙げています。そのうえで、一般市民を主役にすることで、従来の映像作品とは異なる緊張感が生まれていると評価しています。