a bunch of nintendo games laying on the ground
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AIツールの普及で、昔のゲームを別の機器向けに移植する個人プロジェクトが増えています。作業が速くなる一方、ゲームの仕組みを解明して記録するコミュニティでは、貢献の扱いや成果の質をめぐる摩擦が表面化しています。

AIで増える旧作ゲームの移植

この1カ月ほどで、Haloをブラウザーで動かす試みや、『ゼルダの伝説 風のタクト』のiPhone移植、『大乱闘スマッシュブラザーズ』の複合現実対応などが行われました。いずれも、ゲームを解析し、別の環境で動く形に組み直す取り組みです。

分解・再構築を意味する「decomp」「recomp」は、ゲームを構成する要素を調べ、元の想定とは異なるハードウェアで動作させるために再構成する作業です。手作業では長い時間がかかることがあり、ゲームキューブ版『どうぶつの森』の解析に数年を費やしたグループもあります。

ゲーム移植を趣味にするAIコンサルタントのクリス・ソトライディス氏は、AIを使って『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のモバイル移植など、複数のプロジェクトを進めました。同氏は、AIがなければ同じペースと量の作業はできなかったと述べています。

解析から移植までに必要な作業

ソースコードが公開されていないゲームを移植する方法の一つは、元のゲームデータを解析することです。N64Recompは、利用者が用意したゲームのバイナリを命令単位でCコードへ変換し、PC向けの実行形式を作る静的再コンパイルツールです。

この方式では、まずバイナリ内のコードの位置や関数などを特定し、変換したコードを移植先の環境向けにビルドします。ゲーム機の描画や入力などを受け持つ実行環境も必要で、動作を整えるために人がコードを調整する場合があります。

元のゲームデータは、解析やビルドの入力として使われます。N64Recompでは、利用者が用意したゲームバイナリを変換処理に渡し、生成したコードをPC向けにビルドします。変換後のコードは人が読みやすい形とは限らず、手作業による解析を中心とするdecompilationとは目的や成果物が異なります。

コミュニティで問題になった貢献の扱い

decomp.devは、ゲームの解析進捗を共有し、参加者が知識を持ち寄るために2024年に始まりました。運営者のEncounter氏は、AIの性能向上で解析を速められるようになった一方、既存プロジェクトをAIで仕上げたとして公開するフォークや、他者の解析成果を使って移植を急ぐ動きが問題になったと説明しました。

Encounter氏によると、プロジェクトは協力を促すためオープンソースで進められてきましたが、既存の作業に実質的な貢献をしないまま成果を競う動きが、コミュニティのつながりを損ねたといいます。同氏は、新規プロジェクトの追加と全体インデックスを停止しました。既存プロジェクトの個別ページと過去の記録は引き続き利用できます。

Encounter氏は、AIを一律に禁止するのではなく、質の基準を決めて多数のプロジェクトを審査することは難しいとしました。AIを使った作業にも人の入力やコードレビューが必要だという認識を示し、無断のフォークや貢献のない移植が続くことへの懸念も述べています。

保存と利用をめぐる異なる優先事項

ゲーム保存では、作品を現代の環境で動かすことに加え、元のプログラムがどう作られたかを理解することも重視されます。AIによる高速な変換では、動作する移植ができても、開発時の設計や実装を解明する知識が残りにくいという懸念があります。

一方、ソトライディス氏は、AIによってプログラミング経験の少ない人も試作や実験に取り組みやすくなったと説明しています。同氏は、現在の成果への批判には理由があると認めつつ、ツールの改善と使い手の習熟によって、より丁寧な制作につながる可能性もあると述べました。

米国の著作権法17編1201条は、アクセス制御技術の回避を原則として規制し、一定の条件下で、合法的に取得したプログラムの相互運用に必要な要素を特定・分析する目的の回避を例外として定めています。また、米国著作権局がまとめた1992年の「Sega対Accolade」事件では、互換性を実現するためにプログラムを解析し、著作権で保護されない機能要素を調べた行為が、公正使用に当たると判断されました。この判断は特定の事案についてのもので、ゲームデータの配布や個々の移植版の公開を一律に認めるものではありません。