
Apple Silicon搭載MacでSteamOS対応ゲームを動かすオープンソースプロジェクト「steamac」が公開されています。Steam Frame向けのARM64版SteamOSを仮想マシン上で起動し、Windows向けゲームも実行できる構成です。Mac上でゲームを実行するには、開発ツールと大きな空き容量が必要です。
Steam Frame向けSteamOSをMacの仮想マシンで起動
steamacは、ValveがSteam Frame向けに用意したSteamOSのイメージを、Apple Silicon搭載Macの軽量な仮想マシンで動かします。macOS 15以降が必要で、仮想ディスク用に約150GBの空き容量を求めています。
描画には、macOS上でVulkanを使うためのMoltenVKと、仮想マシン内のLinux側で動くMesa Venusなどを組み合わせています。macOSのHypervisor.frameworkを基盤にし、仮想GPUを介してゲームの描画命令をMac側へ渡します。
ゲームの起動だけでなく、SteamOSの起動イメージやカーネル、描画関連の構成要素もビルドします。プロジェクトはXcode 26以降、Homebrew、Rustのツールチェーンを挙げ、LinuxコンテナのビルドにはOrbStackまたはDockerを必要としています。導入には開発環境でのビルドが必要です。
Protonと描画変換でWindows向けゲームに対応
Windows向けゲームの実行には、Windowsの仕組みをLinux上で扱う互換レイヤーProtonを使います。ValveのSteamworks文書では、Protonを改変版WineとグラフィックスAPI実装群からなる互換レイヤーと説明しています。WineはWindows用ソフトウェアが使う機能を別の環境で動かすための基盤です。
steamacの構成では、x86向けゲームの命令をFEXで扱い、Direct3D 9・10・11の描画命令はDXVKでVulkanへ変換します。そのVulkan命令を仮想マシン内のVenusからMac側のMoltenVKへ渡し、Metalで描画します。
AppleInsiderのMike Wuerthele氏は、週末にsteamacを導入して試し、アンチチートを使わないゲームは動作したと報告しました。Steamworks文書によると、ProtonはEasy Anti-CheatやBattlEyeの一部構成をサポートしますが、タイトルごとに有効化や設定が必要です。
CrossOverやクラウド配信とは実行方法が異なる
CrossOverは、macOS上でWindows版ゲームを動かす互換レイヤーです。2026年のMacゲーム事情を扱う解説によると、DirectX 11・12をMetalへ変換するD3DMetalを使い、対応状況はゲームごとに異なります。steamacはSteamOSを仮想マシンで起動してゲームを実行するため、Windows用プログラムをmacOS上で直接動かすCrossOverとは構成が異なります。
GeForce NOWなどのクラウドゲームでは、ゲームをサーバー上で動かし、その映像をMacへ配信します。steamacはMac上の仮想マシンでSteamOSとゲームを実行します。
初回のシェーダー処理や空き容量にも注意
Steamのシェーダー事前処理を有効にすると、SteamはゲームごとのシェーダーをMac側でコンパイルします。steamacでは新しい描画効果が初めて現れる際に処理が発生し、Metalのシェーダーコンパイルによって一時的に停止することがあります。コンパイル済みの結果はディスクにキャッシュされ、同じ効果の再処理を減らします。
事前処理はSteamの設定から無効にできます。無効にすると、ゲーム内の映像再生に必要な変換済み動画が取得されず、代替表示になる場合があります。事前処理を有効にした場合も、ゲームやSteamの更新後に処理が発生することがあります。










