
人員削減後、複数スタジオで業務への影響
EAでは先週、BioWareを含む複数のスタジオで人員削減が行われました。Vertical Sliceの取材に応じた現職・元従業員は、削減後の士気低下や、社内の意思決定への不信を訴えています。 PC Gamerも、取材を受けた従業員が士気を「ひどい状態」と表現し、少ない人員で従来と同じ量の仕事を求められていると述べたと報じました。
Vertical Sliceによると、削減は社内メールで通知されましたが、誰が対象になったかをスタジオ内の同僚や一部の管理職にも知らせない運用だったと、取材対象者は話しています。 そのため、同僚が退職したと後から知ることがあり、担当者や進行中の作業を把握し直すまでに1、2週間以上かかる場合もあるといいます。
削減対象者の複数人は、チャット機能が無効で、ほかの参加者も見えないZoom会議で通知を受けたと説明しました。 一部には社内の別職種へ応募する猶予が設けられた一方、募集職種には週3日の出社を求めるものがあり、リモート勤務者などには移るのが難しい場合があるとされています。
生成AIをめぐる社内の温度差
取材対象者の一人は、経営陣が生成AIとClaudeに期待を寄せていた一方、チームには不満があったと話しました。 複数の従業員は、管理職からAIツールを使うよう促され、明示的な必須化はされていなくても、使わなければ仕事が難しくなると感じていると述べています。 PC Gamerも、従業員が同様の圧力を訴えたと伝えています。
GDCが3,000人超のゲーム開発者・業界関係者を対象に実施した2025年調査では、回答者の52%が、勤務先で生成AIを導入していると答えました。 回答者の36%は、自身も生成AIを使っていると回答しています。 EA従業員の証言にある社内での利用促進は、ゲーム業界全体でも導入企業や個人利用者が一定数いる状況と並んでいます。
一方、同調査では回答者の30%が、生成AIはゲーム業界に悪影響を及ぼしていると回答しました。 著作権、エネルギー消費、生成物の品質、AIの偏り、規制上の問題が懸念として挙げられています。 この調査結果は業界全体の回答であり、EA社内の利用状況を測った数字ではありません。
経営判断と開発現場の不信
Vertical Sliceの取材対象者は、削減の知らせが遅く、対象者を明かさないことで、残った従業員にも不安が続くと話しました。 また、社内で「経営陣は失敗せず、失敗させられるだけだ」という感覚があるとも述べています。 これは従業員側の評価として紹介されています。
BioWareについては、取材対象者が、ライブサービスやマルチプレイ要素を取り入れる方向へ何度も開発方針を変えたことを批判しました。 その過程で多くの費用が成果につながらない方向に使われたとの声や、ユーザー体験調査の結果に沿うことが優先され、リスクを取った企画が進みにくかったとの証言もあります。 PC Gamerも、BioWareの開発がライブサービス路線への変更などで混乱したとする報道内容を紹介しています。
EAのCEO、アンドリュー・ウィルソン氏には、『Battlefield 6』の成功を受けて3,800万ドル(約60億円)が支払われたとPC Gamerは伝えています。 同誌は、2025年のウィルソン氏の年間報酬が、EAのスタジオ従業員の給与中央値のおよそ305人分に相当すると報じました。 こうした報酬と人員削減の並びは、経営責任を問う従業員側の不満の中で取り上げられています。
BioWare再編と残る懸念
BioWareでは過去にも人員削減があり、2025年には『Dragon Age: The Veilguard』の発売後、開発者の一部がEA内の別プロジェクトへ移る再編が発表されました。 EAは当時、スタジオの焦点を次の『Mass Effect』へ移し、開発段階に応じた人員体制にすると説明していました。 その後、複数のBioWare開発者が退職や求職を公表したとIGNは報じています。
今回のVertical Sliceの取材では、従業員が経営陣の判断や将来の追加削減に懸念を示しました。 同誌によると、複数の従業員は、EAがスポーツ作品や『Battlefield』のようなシリーズに依存し、ほかのスタジオや作品の先行きを不安視しています。 BioWareの閉鎖と複数スタジオの人員削減を受け、現場では雇用や開発体制をめぐる不透明さが続いています。











