
8市場の価格を推奨価格と比較
Steamでは、販売元が米ドル価格を基準に各地域の推奨価格を使う方法と、通貨ごとに価格を個別設定する方法があります。筑波大学の研究は、Steamの推奨価格に対して実際の販売価格がどう設定されているかを調べ、販売元の価格設定を4つの型に分類しました。
分析に使われたのは、2023年8〜9月に収集したブラジル、中国、フランス、英国、インド、日本、韓国、米国の8市場の価格データです。268社が販売する7,375タイトルが対象で、分析対象の販売元は10タイトル以上を扱う企業に限られました。
価格比率は、米国以外の市場における実際の価格をSteamの推奨価格で割って算出しています。100%なら実際の価格と推奨価格が一致し、100%を上回れば実際の価格が推奨価格より高いことを示します。
推奨価格に近い市場と上回る市場
フランス、英国、日本、韓国では、平均価格が推奨価格に比較的近く、同じ販売元のタイトル間でも価格比率のばらつきが小さい傾向でした。中国は平均約111%で、平均的な価格水準は推奨価格に近い一方、ばらつきはこれら4市場よりやや大きくなっています。
ブラジルの平均は約128%、インドは約130%で、どちらも推奨価格を上回る傾向が強く、価格のばらつきも大きい結果でした。数値は各市場の実際の価格と推奨価格の比率を示しています。
市場ごとの平均やばらつき、中央値、最大値、最小値などを販売元単位でまとめ、価格設定の似た企業を階層クラスタリングで分類しました。その結果、268社の価格設定は、推奨価格への追随、小幅な調整、新興市場での上乗せ、市場やタイトル間の大きなばらつきという4タイプになりました。
販売元ごとに異なる4つの型
「ベンチマーク追随型」は各市場で推奨価格に近い価格を設定し、市場間の差も小さいタイプです。「調整型」は推奨価格から小幅に調整しながら、市場間のばらつきを比較的小さく保ちます。
「新興市場プレミアム型」はブラジルやインドで推奨価格を上回る傾向があり、「高分散ポートフォリオ型」は市場間やタイトル間で価格のばらつきが大きいタイプです。分類は、8市場における販売元ごとの価格の特徴に基づいています。
世界的に規模の大きいゲーム企業と系列・関連が確認された19社のうち、高分散ポートフォリオ型に属するのは29社中11社、割合にして37.9%でした。他の3タイプでは該当する企業は各1〜4社で、大規模企業との関連がある販売元は、ばらつきの大きい型に多く含まれていました。
Steamの換算方式と研究の範囲
Steamの価格換算ツールでは、為替レートだけを使う換算、購買力だけを使う換算、複数の要素を使う換算を選んで比較できます。購買力による換算は、国や地域の顧客の購買力に関する公開データを使う方式です。
複数要素を使う方式では、現地の購買力に加え、同等の娯楽商品の想定価格や為替レートを考慮します。販売元は通貨や地域グループごとの価格を自由に設定でき、ツールの換算値をそのまま採用する必要はありません。
研究が対象としたのは通常時の販売価格で、価格設定の型と販売実績との関係は分析されていません。今後は販売実績や他のデジタルプラットフォームのデータも含めて分析を進める予定です。 Steamの価格換算ツールは2026年3月に更新され、換算データと換算方法が変更されました。研究対象の2023年8〜9月の価格は、その更新前の推奨価格に基づいています。










