Empowering Creators and Players With Muse, a Generative AI Model for Gameplay - XBOX Wire
出典: news.xbox.com

AI活用を促す発言とアカウント停止

Xboxのシニア・ビジネス戦略マネージャー、ブランドン・スターラップ氏が、AIを開発戦略に取り入れないゲーム開発者やスタジオは「ビジネスをするべきではない」とする趣旨の発言をXに投稿しました。投稿から24時間足らずで、同氏はXアカウントを停止しました。Xboxの関係者は、返信が大量に寄せられたため本人が停止を選んだとPC Gamerに説明しています。

スターラップ氏は10月18日、2日間でゲームを作ったと投稿し、実際に作業した時間は約3時間だったと述べました。本人によると、「vibe coded」、つまり自然言語でAIに作りたいものを伝え、生成されたコードを試しながら調整する方法を使ったとしています。「誰でもゲームを作れる」と主張し、AIを開発戦略に組み込まない企業は「偽りの未来」を計画しているとも書きました。

同氏は、XboxがAIを利用していると明言し、社内の人々はその利用を隠すのをやめ、会社として前に進むべきだと投稿しました。発言を理由に解雇されても受け入れる、という趣旨の言葉も添えています。また、ゲーム開発者やプレイヤーがAIを受け入れることに消極的だと批判し、AIで作ったゲームには良い面も悪い面もあると述べました。

「vibe coding」で作るゲーム

ゲーム開発でいう「vibe coding」は、作りたい内容を日常の言葉で指示し、AIにコードやゲーム内要素を生成させる手法です。たとえば、プレイヤーの動きや敵の挙動を説明し、AIが作ったものを実際に動かして、追加の指示で修正します。スターラップ氏が投稿した「約3時間」の作業には、このような指示と試行が含まれます。

ゲーム制作では、AIがコードだけでなく、ツールによってはシーンや物理設定、画像などの素材も生成します。Summer Engineは、自然言語の指示をもとにシーンやゲームロジックを作り、プレイ後に会話形式で調整する工程を説明しています。Rosebud AIは、説明からJavaScriptのコードを生成し、ブラウザー上で動作を確かめて反復する方法を解説しています。

この手法では、最初の指示だけで完成品ができるのではなく、動作を確認して追加指示を出す工程が含まれます。ゲームの操作や物理挙動、画面表示など複数の要素が組み合わさるため、コードが生成されただけでは、遊べる状態や要求どおりの挙動は保証されません。AIで短時間に作った作品と、複数人が関わるゲーム開発全体を同じものとして扱えるかを考えるには、制作段階や完成度を分けて見る必要があります。

試作の速さと完成度の差

トリノ工科大学の修士論文は、大規模言語モデルを使ったゲームの試作を調べ、AIによる制作速度は人手による制作の約40倍だったと報告しました。27人が試作ゲームをプレイした評価では、AI生成作品と人手で作られた作品の間に品質差が残る一方、初期段階の試作としては成立するとの結果が得られました。研究が扱ったのは本制作に先立つプロトタイプであり、速度の結果をそのまま製品開発全体に当てはめる内容ではありません。

論文は、短時間で試作を作れることが、初期のアイデアを試して修正する工程に役立つと論じています。一方、試作には人が選び、調整する作業が残り、AIに制作を任せるだけで品質が一定になるという結果ではありません。スターラップ氏は自身が短時間でゲームを作った経験を根拠にAI利用を強く促していますが、その個別の試作と、継続的な開発で求められる品質管理は異なる論点です。

Tencentの研究チームが公開したGameXpert-Benchは、ゲーム制作AIの評価を、初回生成、バグの発見と修正、複数回の改善という3段階に分けています。ベンチマークには11ジャンルの制作課題97件、バグ修正課題100件、計102件の依頼を含む17の改善系列があります。評価結果では、明示された要件を実装する能力に比べ、欠陥の発見や実行時の確認、変更後に既存機能を保つことに課題が見られました。

開発現場への導入と仕事の変化

Google Cloudとハリス・ポールが2025年6月下旬から7月上旬に5カ国のゲーム開発者615人を調査したところ、90%が仕事で生成AIを利用していました。利用例には、47%が挙げたプレイテストやゲームバランス調整の迅速化、45%が挙げたローカライズや翻訳、44%が挙げたコード生成やスクリプト支援があります。これらは開発工程での利用状況を尋ねた調査結果で、個々のゲームの完成度を測った数字ではありません。

ペンシルベニア大学ウォートン校の生成AI研究所がゲームスタジオ関係者20人に聞き取りを行ったところ、多くの組織はまず個人に生成AIツールを提供し、文章作成など既存業務の補助から導入していました。利用を複数チームにまたがる業務の自動化へ広げる際には、手順書に書かれていない知識の整理や部門間の調整が課題になったと報告されています。同研究所は、AIを前提に設計したスタジオでは、小規模なジェネラリストチームが専門職ごとの分業を置き換え、作業期間が数カ月から数週間へ短縮した事例も記録しました。