
イタリアの10月のインフレ率は5.4%となり、3年余りで最も高い水準に達しました。燃料費の上昇を背景に農家や運輸業者らが抗議し、道路封鎖で生乳や食品の輸送が滞った地域では、モッツァレラチーズやパスタの生産が止まり、スーパーの棚から商品が消えました。
エネルギー価格の上昇が家計と農業を圧迫
イタリアのエネルギー価格は前年同月比で31.4%上昇しました。燃料費の高騰で、農業や運送にかかる費用も押し上げられています。
農家やトラック運転手らは、10月半ばから南部各地の道路、港、燃料貯蔵施設で封鎖を始めました。ディーゼル燃料はイラン戦争前より約3分の1高く、月初には一時的な軽油減税も終了していました。
10月30日には、草の根労組USBが呼びかけたゼネストに合わせ、トリノを含む50以上の都市で抗議行動が行われました。トリノでは農家が市庁舎前に堆肥を置き、生活費や軍事支出に反対する行進にはトラック運転手、学生、タクシー運転手らも参加しました。
道路封鎖で生乳と食品の供給が停滞
水牛乳から作る「Mozzarella di Bufala Campana DOP」は、搾乳から60時間以内に加工する必要があります。トラックの運行が止まり、ナポリ近郊の乳製品工場へ生乳が届かず、ある1日には約100万リットルが使われませんでした。生産者団体の責任者は、その日の生産がなく、損失は300万ユーロ(約5億3,000万円)に達したと述べました。
パスタメーカーも原材料を確保できず、カンパニア州のRummoは生産を一時停止し、モリーゼ州カンポバッソのLa Molisanaも工場を止めました。ナポリのスーパーでは空になった棚に謝罪文が掲示され、シチリアでは生パスタ、チーズ、肉が不足しました。
食品を多く生産する南部のカンパニア、プーリア、カラブリアでは、生鮮食品が倉庫で傷みました。プーリア州はイタリアのデュラム小麦の約4分の1を生産し、セモリナ粉の多くを製粉しています。
DOPの産地と製造条件が輸送時間を左右
Mozzarella di Bufala Campana DOPのDOPは、EUの「原産地呼称保護」を指します。このチーズは、指定された産地で飼育されたイタリア地中海種の水牛から得た全乳の生乳だけで作られます。
認証の対象地域にはカンパニア州のほか、ラツィオ、プーリア、モリーゼ各州の一部が含まれます。認証基準は、産地の環境と伝統的な製法に由来する特性を保護しています。
製造所は、搾乳後60時間以内に生乳を受け入れて加工する必要があります。使用できる材料は水牛の全乳、天然の子牛レンネット、海塩、天然のスターター用ホエイです。
製造では乳を凝固させ、カードを熟成させた後、熱湯で練って成形します。認証を使えるのは審査を通過した乳製品工場で、取得後も規定の順守や追跡可能性について検査を受けます。
政府の支援策と抗議の広がり
メローニ政権は10月22日、トラック運転手、農家、漁業者向けに1億7,520万ユーロ(約310億円)の支援策を承認しました。税額控除を含む支援の総額は5億4,000万ユーロ(約950億円)となりました。
南部で最後まで続いていた封鎖は翌日に解除されました。一方、シチリアのトラック運転手団体の代表は、政府の支援はすでに支払われるはずだった資金だと批判しました。
イタリアでは2000年から2025年に消費者物価が約63%上昇し、食品価格は約90%上昇しました。2024年2月にも農家がトラクターでローマに入り、EUの環境規則、安価な輸入品、高コストに抗議していました。








